インフレに負けない貯蓄方法はあるのか
老後生活になると主な収入源は「年金」になりますが、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、100%年金だけで生活している人は、全体の44%という結果になっています。
年金で不足する分は、働いたり貯蓄からまかなったりするしかありません。
しかし前述したとおり、老後生活に突入し始める60歳代においても、貯蓄ゼロの人の割合は多い傾向にあります。
これらをひとつの要因としているのか、厚生労働省の「2022年 国民生活基礎調査の概況」では、高齢者世帯の約半数が「生活が苦しい」と感じています。
さらに近年では、モノやサービスの価格が継続的に上がっていく「インフレ」状態が続いていることから、より生活が苦しいと感じる高齢者も多いでしょう。
インフレが進む中で安泰な老後生活を送るためには、現役時代から「インフレに負けない貯蓄」をしておくことが大切になります。
例えば、「現金預金」ではなく「長期的な積立・分散投資」のほうがインフレ対策の貯蓄といえます。
長期的な資産運用は、インフレに合わせて値動きする傾向にあるため、実質の価値を維持する対策につながります。
最近では、運用で得られる利益が非課税となる「NISA制度」が導入されたことで、気軽に資産運用がしやすくなりました。
2024年からは新たに「新NISA」も導入され、さらに老後資金の形成がしやすくなるでしょう。
今から老後資金を貯蓄して安心した老後生活に備えよう
本記事では、老後を迎える60歳代の中で「貯蓄2000万円以上の人」と「貯蓄ゼロの人」の割合を紹介していきました。
60歳代で貯蓄2000万円以上の割合は夫婦世帯で29.1%、単身世帯で23.7%となり、クリアしている人はそこまで多くないとうかがえます。
また、60歳代の二人以上世帯・単身世帯ともに、「貯蓄をしている人」と「貯蓄をしていない人」が二極化傾向にあり、老後資金に大きく差が開いていることがわかりました。
ライフスタイルは世帯によって異なるため、必ずしも老後に2000万円以上の資金が必要というわけではありません。
しかし、現状の年金受給額では生活支出をまかなえないケースが多く、実態として半数以上が「生活が苦しい」「100%年金だけで生活していない」という調査データがあることから、年金以外の資金準備はある程度必要になるといえます。
老後までの準備期間が長いほど、月々に積み立てる額が少なくなるため、少額からでも資産運用で利益を出しやすくなります。
インフレに負けない貯蓄方法は「長期・分散・積立」が大切となるため、安心した老後を送るために、今からコツコツとNISAなどを利用して資産形成を始めていきたいですね。
参考資料
- 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
太田 彩子