生活保護は、やむを得ない事情により、生活が困窮した人に対して、最低生活の保障を行いながら、自立を助ける制度です。
生活保護制度で行われる最低生活の保障として「生活・住宅・医療・教育・介護・出産・葬祭・生業」の8つの扶助があります。
2023年10月から、生活保護の8つの扶助の1つで、食費・衣料費などの基本的な生活費を賄う「生活扶助」の基準額が改定されます。
今回は、生活保護制度についての簡単な説明と、5年に1回行われる生活扶助の基準見直しについて解説します。
1. 生活保護を受けるための要件
生活保護の認定は世帯単位で行われ、持っている資産、能力等あらゆるものを活用することを前提として、必要な保護が行われます。
生活保護を受けられるのは、以下のような状態の方が対象となります。
- 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。
- 就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない。
- 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。
たとえば、自動車は資産となるので、生活費を捻出するために原則処分することになります。
しかし、障害をお持ちの方の通勤、通院等に必要な場合等は、例外的に自動車の保有を認められることがあります。
このような状況で、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護を受けることになります。
2. 生活保護で受けられる給付
生活保護制度で受けられる給付は、生活をしていく上で必要となる8つの扶助があります。
- 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)
- 住宅扶助:アパート等の家賃
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
- 医療扶助:医療サービスの費用(費用は直接医療機関へ支払)
- 介護扶助:介護サービスの費用(費用は直接介護事業者へ支払)
- 出産扶助:出産費用
- 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
- 葬祭扶助:定められた範囲内で実費を支給