淡い紫やピンクの花が咲き、ハート型の三つ葉も愛らしいムラサキカタバミ。庭の片隅や道端、公園などさまざまな場所でよく見かけるなじみ深い野草です。

ドラマでは関東大震災で万太郎の家が焼け崩れ途方に暮れていたときに、傍らに咲くムラサキカタバミの花に気づきます。「生きて根を張っている限り、花はまた咲く」と、その生命力に勇気づけられる万太郎。

今回はムラサキカタバミの魅力や育て方を紹介します。

【NHK朝ドラ】『らんまん』第25週に登場する「ムラサキカタバミ」ってどんな植物?

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  • カタバミ科カタバミ属
  • 多年草
  • 原産地:南アメリカ
  • 草丈:10~30センチ
  • 花色:紫・ピンク
  • 開花時期:5~7月
  • 参考価格:20~30円前後(球根1球)

ムラサキカタバミの原産地は南アメリカ。そのほか北アメリカや南ヨーロッパ・アジア・オーストラリアなど、地球上の温帯から熱帯にかけて広い地域に生息する多年草です。

日本では江戸時代末期に南アメリカから伝わり、可憐な花が咲くことから観賞用として栽培されるようになりました。今では関東地方より西の地域に広く分布しています。

荒れた土地でも育ち、「鱗茎(りんけい)」という小さな球根を分球しながら旺盛に繁殖。いったん根付くとなかなか取り除くことができないため、いわゆる「雑草」扱いも。

ただ、牧野博士が「『雑草』という植物はありません。」と諭したとされるように、植物にはそれぞれ生存する意味と価値があることは尊重したいものです。

カタバミは繁殖力の強さゆえに、「子孫繁栄」を象徴する植物とされています。鎌倉時代より武家の家紋として多く用いられてきたという史実も、人と植物の深い関わりを示していると言えるでしょう。

【NHK朝ドラ・らんまん】「ムラサキカタバミ」の魅力は?

星形の可憐な花

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ムラサキカタバミの花は1~2センチほどの大きさ。5枚の花弁が開くと小さな星が輝いているかのようで、ロマンチックな雰囲気です。

春~初夏まで名前どおりの薄い紫色またはピンク色の花がつぎつぎと開花。中央部は薄い緑色に色づき、花弁には薄紫色の筋がクッキリと入ります。

日中は花を開いていますが、日が暮れてあたりが暗くなると花を閉じます。雨の日も花は開きません。

ハート型のキュートな葉

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葉は3枚に分かれ、それぞれキュートなハート型です。よく似ているクローバーの葉とは異なり、葉には白い模様は入らず緑一色。クローバーのように四つ葉が見つかることもまれです。

花と同様に葉も光の加減によって閉じたり開いたりするのが特徴。葉を半分に折りたたむようにして閉じます。

その様子がまるで葉が半分かじられたように見えることから、「カタバミ(片喰)」と名付けられたということです。

旺盛な繁殖力

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ムラサキカタバミは花が咲きますが種は作りません。鱗茎とよばれる直径2ミリほどの球根から発芽します。半透明の鱗茎は太るとまるでダイコンのように見えることも。

球根はどんどん分球しながら増殖して、新しい株を作ります。広がり過ぎて取り除こうとしても、地中に埋まった鱗茎まで完全に引き抜くのはたやすくないでしょう。

強い生命力と強固な根を持つムラサキカタバミが、雑草として扱われるのも仕方がないのかもしれません。