厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、65歳以上の者のいる世帯は2747万4000世帯で、全世帯の50.6%を占めています。
1986年には65歳以上の世帯は26.0%ですから、約2倍に増加していることがわかります。
また、徐々に高齢者世帯における単独世帯が増えており、高齢者をめぐる家庭環境は変化しているといえます。
筆者が資産運用の相談を受けるお客様の中にも、「一人で生きていくと思っている」と答える方や、「70歳を超えても働こうと思っている」と仰る方もおり、リアルに時代の流れを感じる瞬間があります。
このように、徐々にその暮らしぶりの変化がみられる70歳代。年金生活に入ると不安を感じる方もいるでしょう。
今回はそんな70歳代における、おひとりさま世帯の貯蓄状況、年金受給額についてみていきたいと思います。
1. 「70歳代おひとりさま」増加へ。寿命の中央値は女性で90歳に
まずは内閣府「令和5年版高齢社会白書」より、65歳以上のひとり暮らしの者の動向を確認します。
65歳以上の一人暮らしの方は1980年には男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020年には男性15.0%、 女性 22.1%へ増加しています。
2040年の推計も男性20.8%、女性24.5%となっており、増加の一途をたどっています。
また、厚生労働省によれば、寿命の平均は男性で81.56歳、女性で87.71歳ですが、より実態に近い中央値は男性で84.51歳、女性で90.55歳となります。
老後、ひとり暮らしの方が増えるなかで平均寿命も上がっており、特に女性はひとりの老後を長く過ごす方も少なくないと思われます。おひとりさまは誰もが他人事ではないでしょう。