2023年8月31日にこども家庭庁が提出した予算概算要求において「子ども未来戦略方針」で提案された「児童手当」についても盛り込まれています。
児童手当の拡充によって、検討されているのが「扶養控除の廃止」です。
扶養控除がなくなると、負担がどれだけ重くなるのでしょうか。
今回は、児童手当の拡充と扶養控除の廃止について解説します。
新たに提案されている児童手当の拡充案
児童手当の現行制度は「3歳未満」「3歳以上小学校修了前」「中学生」の区分にそれぞれ分かれています。
児童手当の給付額は、下記の一覧表の通りです。
現行制度から拡充される項目は、以下の3点です。
- 所得制限の撤廃:給付額に制限を加える「所得制限限度額」や「所得上限限度額」の廃止
- 支給期間の延長:高校卒業(18歳)まで月1万円の給付を延長
- 第3子以降の給付額を増額:3歳から小学生の支給額を第3子以降は月3万円に増額
毎月1万円を高校卒業まで給付された場合、子ども1人あたり36万円の増額となります。
児童手当の拡充によって、子育て世帯の負担が軽減できる期待が持てるでしょう。
しかし、児童手当の拡充が予定されている一方で、扶養控除を廃止する案が検討されています。
扶養控除が廃止されると、負担がどれだけ増すのか、確認していきましょう。
扶養控除の廃止案とは
扶養控除は、同一世帯で扶養している親族がいる場合に、所得税の負担を軽減してくれる制度です。
現行制度では、16歳以上の子どもが同一世帯にいる場合、38万円の所得控除が受けられます。
児童手当が拡充された場合、高校生まで給付の対象になるため、二重で補助が受けられる点について見直しする必要があると、政府が見直しの検討を始めました。
では、扶養控除が廃止された場合に、税負担がどう変わるか確認してみましょう。
扶養控除が廃止された場合のシミュレーション
扶養控除が廃止された場合に、税負担がいくら変わるのか、シミュレーションしてみましょう。
今回は、以下の条件でシミュレーションします。
- 年収500万円の会社員
- 配偶者は専業主婦
- 16歳の子ども1人
年収500万円の世帯が扶養控除を受けた場合と受けられない場合、税の負担がいくらになるのかシミュレーションしてみましょう。
扶養控除が受けられる場合
扶養控除が適用される場合の計算式は、以下の通りです。
(課税所得-給与所得控除-基礎控除-扶養控除)×税率-控除額
課税所得にあてはめると、以下の計算式になります。
(500万円-144万円-48万円-38万円)×10%-9万7500円=17万2500円
では、扶養控除が適用されない場合を見ていきましょう。
扶養控除が受けられない場合
扶養控除が受けられない場合の所得税額は、以下の通りです。
(500万円-144万円-48万円)×10%-9万7500円=21万500円
扶養控除の適用がある場合とない場合で、所得税の負担額の差は以下の通りです。
21万500円ー17万2500円=3万8000円
年間で負担額の差は約4万円になりました。住民税とあわせると、負担額は年間でおよそ7万円です。
児童手当で年間12万円が増額された場合、年収500万円の場合は実質プラスは5万円のプラスとなります。
所得が増えると児童手当の増額分も相殺される
年収が1000万円で、扶養控除が適用されなくなると児童手当の増額分との差額は3800円になります。
月々で約300円となるため、年収が1000万円を超えると児童手当の増額分より、税負担が重くなる可能性が高いです。
財源の確保をするための扶養控除廃止?
児童手当を拡充するためには、現行制度と比較して多額の予算が必要になります。
必要な予算は、以下の金額になると見込まれています。
- 所得制限の撤廃:1500億円程度
- 対象年齢の拡大:4000億円程度
- 多子世帯への支給増額:数兆円規模
「扶養控除」の見直しが、財源の確保につながる点も、廃止を検討されている理由になっています。
児童手当の拡充案は、2024年10月から実施する予定です。
そのため、扶養控除も同じタイミングで見直される可能性もあるでしょう。
今後、どのような形で制度が設計されるのか、引き続き注目していきましょう。

