近年日本では、電気やガス、食料品といった物価の高騰が続いており、「生活が以前より苦しくなった」と感じている人も多いのではないでしょうか。
実際に帝国データバンクの資料によると、2023年は昨年よりも現時点で値上げの品目数が1万品目も多いことが想定されており、家計に大きな影響が継続的に続いていることがうかがえます。
そんな物価高の上昇が続いている日本ですが、実はバブル経済が崩壊した1990年代以降から30年間、賃金水準は変わっていないのです。
物価は緩やかに上がっていく一方で、賃金が上がっていない日本ですが、果たして年齢別の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
本記事では、30年間の日本の賃金水準と、年齢別の平均年収について詳しく解説していきます。
年収ごとの平均貯蓄額についても紹介しているので参考にしてください。
日本は30年間の平均年収が変わっていない?平均年収の推移
冒頭でもお伝えしたとおり、日本では物価の上昇が続いている一方で、平均年収は30年前とほとんど変わっていません。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態調査」によると、2021年の平均年収は443万円となり、過去10年間で年収にほとんど変動がないことがわかります(下記グラフ参照)。
さらに、遡って平均年収を見てみると、30年前となる1991年の平均年収は447万円となっています。
また、過去30年で最も高い平均年収は1997年の467万3000円となっており、500万円台には到達していません。
上記の結果から、1991年から2021年までの30年間、日本の平均年収がほとんど変わっていないことがわかります。
その一方で、物価高に加えて、消費税や社会保険料の負担も増加していることから、30年前よりも生活にゆとりのない世帯が増えているのが現状です。
年齢別の平均年収はいくら?
前章では、日本の平均年収の推移について見ていきましたが、年齢別における平均年収はどのようになっているのでしょうか。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別の平均給与は下記グラフのようになりました。
全体の年齢別の平均給与を見てみると、「40代前半まで」と「60歳代以降」は平均年収が400万円台もしくはそれ以下となっており、年収が500万円台を超える年齢階層の割合が少ないことがわかります。
男女別にみてみると、男性は60歳未満までは年齢が高くなるにしたがって平均給与も高くなっており、30歳代には日本全体の平均給与を超えた年収となります。
一方で女性は年齢による格差が顕著ではなく、平均給与も全体の水準以下となっています。
なぜ日本の賃金水準は変わらない?年齢別の平均年収から読み解く
他の先進国では物価の上昇とともに賃金の上昇がされていますが、なぜ日本は30年間賃金変わらないのでしょうか。
賃金水準が変わらない理由はいくつかありますが、要因の1つとして「賃金を上げなくても労働人材が不足しない」ことが挙げられます。
賃金は、労働需要に対して労働人材が不足すれば、必然的に人材確保を目的に賃金が上がる傾向にあります。
しかし、日本の産業においては、賃金水準が比較的低い「非正規労働者」が増加傾向にあり、賃金を上げなくても労働人材の確保がしやすくなっている現状がうかがえます。
実際、国税庁が調査した「令和3年の民間給与実態統計調査」によると、平成23年よりも非正規雇用者が増加しており、正規雇用と非正規雇用の賃金差に格差が生じていることがわかります。
近年日本では、公的年金の受給開始年齢が引き上げとなったり、育児と仕事の両立がさらに推進されたりしているため、高齢者や子育てをしている女性が以前よりも働く機会が多くなりました。
しかし、高齢者や子育て中の女性が、正社員としてフルタイムで働くことは体力・時間的に難しいため、非正規雇用という雇用形態で働くケースがよく見られます。
実際に、先ほど紹介した「年齢別の平均給与」を見てみると、女性や60歳代の平均給与は平均年収以下となっています。
こういった背景から、非正規雇用の労働者が増加しており、賃金水準が低くても労働人材の確保がしやすいことから、賃金水準が停滞している要因になっているとうかがえます。
平均年収「400万円台」世帯の平均貯蓄額は?
日本の平均年収は現状もなお「400万円台」となっていますが、果たして貯蓄はできているのでしょうか。
金融広報中央委員会の調査データによると、年収400万円台が含まれる「年収300〜500万円未満」の平均貯蓄額は下記一覧表の結果となりました。
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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」を参考に筆者作成
平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、貯蓄額が極端に多い人がいた場合、平均値がその金額に偏る傾向があります。
一方で中央値は、対象となるデータを小さい順に並べた時に中央にある値を指していることからより実態に近く、一般的な貯蓄額が知りたい方は中央値を参考にすると良いでしょう。
「年収300〜500万円未満」の金融資産非保有割合はともに25%前後であることから、約4人に1人は貯蓄が全くできていない貯蓄ゼロ世帯であることがうかがえます。
老後生活を考えると収入が年金となるため、現役時代よりもさらに少ないお金で生活をしていく可能性が高くなります。
給与が少ないゆえになかなか貯蓄に手が回らないという人もいるでしょうが、そんな方こそ長時間をかけて少しずつ積み立てることが大切になります。
たとえばNISAといった少額から始められる資産運用を活用して、早い段階から老後に備えた貯蓄も検討していけると良いでしょう。
30年間給与が変わらない日本。まだまだ課題が山積み
本記事では、30年間の日本の賃金水準と、年齢別の平均年収について詳しく解説していきました。
近年日本では物価の上昇が深刻化していますが、その一方で賃金水準が30年間変わっていない実態があります。
賃金水準が変わっていない背景として、正規雇用よりも低い賃金である非正規雇用の増加が挙げられます。
日本ではここ数年、最低賃金の引き上げを行っていますが、それでもなお正規雇用と非正規雇用の賃金格差は依然として大きく開いています。
給与が変わらないのに対して、税金や社会保険料、物価などの高騰が続く日本では、今後の政府の迅速な対策や政策が急がれます。
参考資料
- 株式会社帝国データバンク「9月の食品値上げ、2067品目 2カ月連続で前年比減 値上げ機運「鈍化」」
- 国税庁「令和3年分 民間給与実態調査」
- 国税庁「平成13年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「平成14年分 民間給与実態統計調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
- 厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」
太田 彩子