年齢別の平均年収はいくら?

前章では、日本の平均年収の推移について見ていきましたが、年齢別における平均年収はどのようになっているのでしょうか。

国税庁の「令和3年分 民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別の平均給与は下記グラフのようになりました。

全体の年齢別の平均給与を見てみると、「40代前半まで」と「60歳代以降」は平均年収が400万円台もしくはそれ以下となっており、年収が500万円台を超える年齢階層の割合が少ないことがわかります。

男女別にみてみると、男性は60歳未満までは年齢が高くなるにしたがって平均給与も高くなっており、30歳代には日本全体の平均給与を超えた年収となります。

一方で女性は年齢による格差が顕著ではなく、平均給与も全体の水準以下となっています。

なぜ日本の賃金水準は変わらない?年齢別の平均年収から読み解く

他の先進国では物価の上昇とともに賃金の上昇がされていますが、なぜ日本は30年間賃金変わらないのでしょうか。

賃金水準が変わらない理由はいくつかありますが、要因の1つとして「賃金を上げなくても労働人材が不足しない」ことが挙げられます。

賃金は、労働需要に対して労働人材が不足すれば、必然的に人材確保を目的に賃金が上がる傾向にあります。

しかし、日本の産業においては、賃金水準が比較的低い「非正規労働者」が増加傾向にあり、賃金を上げなくても労働人材の確保がしやすくなっている現状がうかがえます。

実際、国税庁が調査した「令和3年の民間給与実態統計調査」によると、平成23年よりも非正規雇用者が増加しており、正規雇用と非正規雇用の賃金差に格差が生じていることがわかります。

近年日本では、公的年金の受給開始年齢が引き上げとなったり、育児と仕事の両立がさらに推進されたりしているため、高齢者や子育てをしている女性が以前よりも働く機会が多くなりました。

しかし、高齢者や子育て中の女性が、正社員としてフルタイムで働くことは体力・時間的に難しいため、非正規雇用という雇用形態で働くケースがよく見られます。

実際に、先ほど紹介した「年齢別の平均給与」を見てみると、女性や60歳代の平均給与は平均年収以下となっています。

こういった背景から、非正規雇用の労働者が増加しており、賃金水準が低くても労働人材の確保がしやすいことから、賃金水準が停滞している要因になっているとうかがえます。