「就職氷河期世代」とは、バブル崩壊後である1990〜2000年代に社会的就職難となった時期に、就職活動をしていた世代を指します。就職氷河期世代は現在40歳代〜50歳代となっており、それら就職氷河期世代を「ロスジェネ(ロストジェネレーション)世代」とも呼んでいます。
例えば2023年9月29日~9月30日には、正社員就職を目指すミドル世代(就職氷河期世代)等を対象にした「広域関東圏合同企業説明会」が経済産業省関東経済産業局にて行われます。
政府も雇用の促進を狙い、さまざまな支援を行っているところです。
本記事では、就職氷河期世代でもある「40歳代」の平均貯蓄額について詳しく解説していきます。
就職氷河期世代が抱える問題点から分かる「貯蓄の実態」についても解説しているので、参考にしてください。
ロスジェネ世代が抱える問題点とは
前述したとおり、ロスジェネ世代は就職氷河期であるバブル崩壊時代に就職活動をしていた世代であり、その時期の人たちは経済悪化の影響により就職難に陥りました。
バブル崩壊の影響を受け、多くの企業が人件費を削減しようと雇用調整をした結果、正規雇用採用が減少し、非正規雇用の枠が増大しました。
その結果ロスジェネ世代では、正規雇用の内定をもらえた人が少なく、現在もなお非正規雇用として働いている人が、他の年代よりも多い傾向にあります。
実際に、内閣府の「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」によると、就職氷河期世代の中心層の雇用形態は下記グラフのようになっています。
就職氷河期世代の中心層は約1689万人で、そのうちの371万人が「非正規の職員・従業員」、219万人が「非労働力人口」となっています。
非正規の職員・従業員のうち、「正規雇用を希望しているが非正規雇用である人」は50万人となっており、「望んで非正規雇用として働いていない人」も一定数存在していることがわかります。
さらに、ニートや引きこもりといった無業者は40万人にものぼり、ロスジェネ世代の就職難は現在でも問題視されている現状が見て取れます。
正規雇用と非正規雇用で広がる賃金格差。年金受給額にも影響?
前章で、就職氷河期世代の371万人が「非正規の職員・従業員」として働いており、現在もなお満足のいく雇用条件で働けない人が多いことがわかりました。
正規雇用と非正規雇用では賃金に大きな差が生じますが、果たしてどのくらい賃金に違いが出るのでしょうか。
厚生労働省の発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」では、40歳代の正社員と正社員以外の雇用形態における賃金は下記一覧表の結果となりました。
上記表によると、正規雇用の賃金が40歳代前半で「34万7500円」後半で「36万6300円」なのに対して、非正規雇用は「21万7600円」「21万2800円」です。
その差は約1.5倍前後となっており、受け取れる収入に格差が生じていることがわかります。
収入差があることで生活水準が変わってくるだけでなく、「厚生年金の受給額」にも大きな影響が出てきます。
厚生年金は、年収や加入期間によって受け取れる受給額に変動があるため、ロスジェネ世代は、現役時代の収入だけでなく「老後の生活を支える収入」においても、苦労する可能性があります。
ロスジェネ世代「40歳代」の貯蓄事情
正規雇用と非正規雇用では賃金に大きな差が生じることが分かりましたが、非正規雇用の多いロスジェネ世代「40歳代」の貯蓄額はどのようになっているのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40歳代の二人以上世帯・単身世帯の平均貯蓄は下記一覧表の結果となりました。
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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」を参考に筆者作成
平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、極端に貯蓄額が多い人がいた場合、平均値が偏る傾向にあります。
一方で中央値は、対象となるデータを小さい順に並べ、中央にある値を指しており、一般的な貯蓄額の実態を知りたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
二人以上世帯・単身世帯の中央値をみてみると、貯蓄額はともに300万円未満となっており、十分に貯蓄できていない現状がうかがえます。
特に単身世帯においては貯蓄額の中央値が100万円未満であり、30歳代の貯蓄額の中央値よりも低い結果となっています。
上記から、ロスジェネ世代においては、収入の格差だけでなく貯蓄額においても他の年代よりも開きがあると考えられます。
40歳代の約半分が貯蓄額200万円以下。貯蓄をしていない人も
では最後に、ロスジェネ世代である40歳代の「貯蓄割合」を見ていきましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40歳代の二人以上世帯・単身世帯の貯蓄割合は下記グラフの結果となりました。
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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」を参考に筆者作成
単身世帯・二人以上世帯ともに、貯蓄が全くない「金融資産保有」の割合が最も多くなっています。
また、貯蓄額200万円未満の割合は、単身世帯で56.5%、二人以上世帯で44.4%となっており、約半分の世帯を占めていることがわかります。
非正規雇用の場合は、正規雇用よりも収入が低いだけでなく昇給の機会も少ないため、なかなか貯蓄に回せるお金が増えていかないのでしょう。
とはいえ、40歳代になると、老後を意識し始める年代にもなるため、老後の資金準備をしていく必要があります。
少しでも早いうちから家計を見直し、収入の中で少額からでも貯蓄に回す習慣作りが大切になっていくとうかがえます。
近づく就職氷河期世代の老後。老後の備えは問題ないか
本記事では、就職氷河期世代である「40歳代」の平均貯蓄額について詳しく解説していきました。
40歳代の平均貯蓄額は他の年代と比較しても低い傾向にあり、約半分の世帯の貯蓄割合は200万円未満であることがわかりました。
就職氷河期世代にあたる40歳代は、現在もなお非正規雇用者が多いことから、老後に受け取れる厚生年金受給額も低い可能性があります。
老後の主な収入源は「年金」となるため、年金で不足する分は自身で補っていく必要があります。
近年政府では、就職氷河期世代の就職サポートを積極的に行っていますが、それらの世代がシニア層に近づいてきていることから、老後生活をどのようにサポートしていくのかも政策の検討が急がれます。
参考資料
- 内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」
- 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
太田 彩子