ロスジェネ世代「40歳代」の貯蓄事情
正規雇用と非正規雇用では賃金に大きな差が生じることが分かりましたが、非正規雇用の多いロスジェネ世代「40歳代」の貯蓄額はどのようになっているのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40歳代の二人以上世帯・単身世帯の平均貯蓄は下記一覧表の結果となりました。
平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、極端に貯蓄額が多い人がいた場合、平均値が偏る傾向にあります。
一方で中央値は、対象となるデータを小さい順に並べ、中央にある値を指しており、一般的な貯蓄額の実態を知りたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
二人以上世帯・単身世帯の中央値をみてみると、貯蓄額はともに300万円未満となっており、十分に貯蓄できていない現状がうかがえます。
特に単身世帯においては貯蓄額の中央値が100万円未満であり、30歳代の貯蓄額の中央値よりも低い結果となっています。
上記から、ロスジェネ世代においては、収入の格差だけでなく貯蓄額においても他の年代よりも開きがあると考えられます。
40歳代の約半分が貯蓄額200万円以下。貯蓄をしていない人も
では最後に、ロスジェネ世代である40歳代の「貯蓄割合」を見ていきましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40歳代の二人以上世帯・単身世帯の貯蓄割合は下記グラフの結果となりました。
単身世帯・二人以上世帯ともに、貯蓄が全くない「金融資産保有」の割合が最も多くなっています。
また、貯蓄額200万円未満の割合は、単身世帯で56.5%、二人以上世帯で44.4%となっており、約半分の世帯を占めていることがわかります。
非正規雇用の場合は、正規雇用よりも収入が低いだけでなく昇給の機会も少ないため、なかなか貯蓄に回せるお金が増えていかないのでしょう。
とはいえ、40歳代になると、老後を意識し始める年代にもなるため、老後の資金準備をしていく必要があります。
少しでも早いうちから家計を見直し、収入の中で少額からでも貯蓄に回す習慣作りが大切になっていくとうかがえます。
近づく就職氷河期世代の老後。老後の備えは問題ないか
本記事では、就職氷河期世代である「40歳代」の平均貯蓄額について詳しく解説していきました。
40歳代の平均貯蓄額は他の年代と比較しても低い傾向にあり、約半分の世帯の貯蓄割合は200万円未満であることがわかりました。
就職氷河期世代にあたる40歳代は、現在もなお非正規雇用者が多いことから、老後に受け取れる厚生年金受給額も低い可能性があります。
老後の主な収入源は「年金」となるため、年金で不足する分は自身で補っていく必要があります。
近年政府では、就職氷河期世代の就職サポートを積極的に行っていますが、それらの世代がシニア層に近づいてきていることから、老後生活をどのようにサポートしていくのかも政策の検討が急がれます。
参考資料
- 内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」
- 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
太田 彩子