積水ハウスのセグメント情報
同社は、2024年1月期第1四半期連結会計期間より、事業セグメントの区分を変更している。
事業戦略と組織の連動性をさらに高め資本効率の向上を図るため、事業単位別の管理方法を導入したことでセグメントを変更することとなった。
「戸建住宅事業」「賃貸・事業用建物事業」「建築・土木事業」「賃貸住宅管理事業」「リフォーム事業」「仲介・不動産事業」「マンション事業」「都市再開発事業」「国際事業」の9事業を報告セグメントとしている。
同社は管理のために、報告セグメントを、以下の3つのビジネスモデルに区分している。
- 請負型:「戸建住宅事業」「賃貸・事業用建物事業」「建築・土木事業」
- ストック型:「賃貸住宅管理事業」「リフォーム事業」
- 開発型:「仲介・不動産事業」「マンション事業」「都市再開発事業」
- 国際:「国際事業」
積水ハウスの請負型ビジネス
「戸建住宅事業」
主な事業は、注文住宅・分譲住宅の販売(外構含む)である。
価格レンジ別戦略の深化による戸建住宅ブランドの強化を図るべく、1stレンジ商品である「積水ハウス ノイエ」の販売を推進するとともに、2nd・3rdレンジの中高級商品・高価格商品の拡販に注力した。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」をはじめ、大空間リビング「ファミリー スイート」、次世代室内環境システム「スマート イクス」や間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」等の高付加価値提案が好評で、受注は底堅く推移した。
以上より、売上高は前年同期比▲3.9%の2314億5400万円、営業利益は前年同期比▲17.9%の188億6000万円となり、前期から続く資材価格高騰の影響を受け減収減益であった。
2022年度に資源価格高騰分を価格転嫁したことで、利益率は改善が進んでいる。
「賃貸・事業用建物事業」
主な事業は、賃貸住宅(シャーメゾン)・商業/オフィス用建築物(同社が請け負うRC含む)等の請負・販売(外構含む)である。
当社オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及に注力して、高付加価値物件を供給した。
「シャーメゾンZEH」は、光熱費の節約やエシカル志向への対応を考慮した入居者売電方式が好評で、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合は77%を占める。
CRE(法人)・PRE(公共団体)事業も含め受注は好調に推移している。
以上より、売上高は前年同期比+6.8%の2637億5800万円、営業利益は前年同期比+5.4%の395億4100万円と増収増益であり、利益率も計画通りに進捗している。
「建築・土木事業」
主な事業は、在来工法建築物の設計・施工、土木工事の設計・施工である。
建築事業において、追加変更工事の獲得等により採算性が改善するとともに、民間における設備投資意欲が持ち直すなか、建築・土木事業ともに受注は改善傾向で推移した。
以上より、売上高は前年同期比▲5.8%の1236億2800万円、営業利益は前年同期比+1.8%の67億600万円と減収増益となり、利益率は改善した。
積水ハウスのストック型ビジネス
「賃貸住宅管理事業」
主な事業は、賃貸住宅(シャーメゾン)の借上・管理業務である。
好立地に建築した高品質・高性能な賃貸住宅「シャーメゾン」の供給により、管理受託戸数が堅調に増加した。
入居者に向けたブロックチェーンを用いた入居手続きのワンストップ対応等、充実したサービスの提供により高水準の入居率と賃料を維持し、増収に寄与した。
以上より、売上高は前年同期比+4.5%の3211億4200万円、営業利益は前年同期比+5.2%の262億900万円となり増収増益を達成した。
「リフォーム事業」
主な事業は、当社施工の住宅(戸建・賃貸)のリフォーム、一般物件のリフォームである。
住宅ストックの資産価値向上と長寿命化を図るべく、「リノベーション提案等の提案型リフォーム」と「断熱改修や最新の省エネ・創エネ・蓄エネ設備等を導入する環境型リフォーム」に注力した。
また、賃貸住宅では、資産価値を向上させ、リノベーション提案に注力したことで受注は好調に推移した。
以上より、売上高は前年同期比+5.9%の882億9300万円、営業利益は前年同期比+7.5%の121億1200万円となり増収増益であった。
2022年度の好調な受注および順調な工事進捗が増収に寄与した。大規模リフォームの受注も増加しており、利益率の継続して改善されている。
積水ハウスの開発型ビジネス
「仲介・不動産事業」
主な事業は、住宅用地・既存住宅・収益用不動産(土地・建物)の仲介・販売である。
エリアマーケティングに沿った優良な土地の積極仕入れ、土地取得から検討している顧客への拡販に注力した結果、受注は好調に推移した。
以上より、売上高は前年同期比+18.7%の1302億2800万円、営業利益は前年同期比+37.8%の124億9900万円と増収増益であった。
積水ハウス不動産各社における、販売用不動産の売却が順調に進捗し増収に寄与した。
「マンション事業」
主な事業は、分譲マンションの開発・販売・管理である。
「グランドメゾン白金高輪パークフロント」(東京都港区)、「グランドメゾン大濠公園THE TOWER」(福岡市中央区)の引渡しが順調に進むなど、計画通りに進捗した。
また、東京・名古屋・大阪・福岡において展開する、高付加価値・分譲マンション「グランドメゾン」においては、家庭部門の脱炭素化への貢献を目指して2023年以降に販売する物件を全住戸ZEH仕様としている。
これらの取り組みが評価され、「グランドメゾン代官山 THE PARK」(東京都渋谷区)、「グランドメゾン北堀江レジデンス」(大阪市西区)の販売が好調に推移した。
以上より、売上高は前年同期比▲8.9%の499億7200万円、営業利益は前年同期比▲21.3%の83億6300万円となった。
減収減益であるが、2022年度に大型物件の引渡しを行ったことが影響している。
「都市再開発事業」
主な事業は、都市部を中心としたホテル等の開発・管理、地方部“Trip Base”である。
賃貸住宅「プライムメゾン」等の入居率は堅調に推移するとともに、保有ホテル物件では都市型ホテルを中心に業績が改善傾向で進捗した。
以上より、売上高は前年同期比+194.6%の683億6700万円、営業利益は130億2100万円と、大幅な増収増益であった。