世帯年収600万円「共働き夫婦」の手取りはいくらか
次に、共働き夫婦で世帯年収600万円の世帯の手取りを確認します。シミュレーションの条件は以下のとおりです。
- 共働き世帯
- 夫・妻はともに東京都にある中小企業勤務の45歳会社員
- 夫・妻ともに年収300万円(月給20万円×12ヶ月+ボーナス30万円×2回)
- 子どもはいない
- 住まいは埼玉県(住宅ローン残高なし)
- 生命保険料控除や医療費控除・寄付金控除等の適用なし
シミュレーション結果は以下のとおりとなります。
健康保険料:35万5000円(夫婦合計)
(1万1820円(月給分)×12ヶ月+1万7730(ボーナス分)×2ヶ月分)×2人分
厚生年金保険料:54万9000円(夫婦合計)
(1万8300円(月給分)×12ヶ月+2万7450円(ボーナス分)×2ヶ月分)×2人分
雇用保険料:3万6000円(夫婦合計)
(300万円×0.6%)×2人分
所得税:10万9000円(夫婦合計)
((300万円(額面年収)ー48万円(基礎控除)ー98万円(給与所得控除)ー46万9800円(社会保険料控除))×5%+1124円(復興特別所得税))×2人分
住民税:23万4000円(夫婦合計)
((300万円(額面年収)ー43万円(基礎控除)ー98万円(給与所得控除)ー46万9800円(社会保険料控除))×10%+5000円(均等割))×2人分
手取り:471万7000円(夫婦合計)
600万円ー35万5000円(健康保険料)ー54万9000円(厚生年金保険料)ー3万6000円(雇用保険料)ー10万9000円(所得税)ー23万4000円(住民税)
手取りは471万7000円で、手取り率は78.6%です。片働き世帯の手取りは463万5000円だったため、共働き世帯のほうが手取りは8万2000円多くなっています。
手取り額に差が生じる大きな要因が、所得税の計算方法です。所得税は、所得が多い人ほど税率が高くなります。
年収600万円の人の所得税率は10%ですが、年収300万円の人の所得税率は5%のため、共働き夫婦のほうが合計の所得税が低くなる仕組みです。
iDeCoやふるさと納税の活用も一つ
今回は働き方にわけて試算しましたが、夫婦の働き方は各家庭の状況や考え方によって異なるでしょう。
また、会社員や公務員であっても、節税は可能です。iDeCoや生命保険などを使って所得税と住民税の負担を減らすこともできます。
また、ふるさと納税を利用すれば本来納めるべき税金を使って返礼品を受け取ることが可能です。
働き方を考えるとともに、さまざまな情報収集をして手取りを増やす工夫を考えてみるといいでしょう。
参考資料
- 国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査」
- 東京都「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 厚生労働省・都道府県労働局長・ハローワーク「令和5年度雇用保険料率のご案内」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
- 埼玉県「個人県民税」
苛原 寛