2023年は日本がWBCで世界一になり、去年はサッカー日本代表がベスト16になるなど、スポーツが盛り上がる昨今。次はラグビーワールドカップが開催されます。

前回のラグビーワールドカップも記憶に新しいところですが、「もし今回も日本で開催されていたら」と考えると、異常な暑さに不安を感じるかもしれません。

時期をずらして開催するなど、工夫が求められていたことでしょう。それほど今年の暑さは異常で、家庭の冷房費も上昇しています。

加えて昨今の物価上昇です。やりくりが大変で、老後資金にまで手が回らないという家庭も多いことでしょう。

今年は年金額が3年ぶりの増額となり、国民年金は1434円、厚生年金(モデル夫婦世帯の場合)では4889円もの引き上げとなりました(月額)。

年金増額と聞くと安心感がありますが、リタイア後は年金だけで生活できるのか、その収支が重要になります。

そこで今回は、65歳以上世帯の「年金収入」と「支出」「貯蓄」事情について紐解いていきます。

1. みんな老後資金の貯蓄は十分?65歳以上世帯の平均額

最初に、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、65歳以上世帯のうち「二人以上世帯」の貯蓄額を確認します。

大切な老後資金を、みんな順調に準備できているのでしょうか。

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」

  • 平均値:2414万円
  • 中央値:1677万円

平均値と中央値が示されているため、どちらを参考にするか迷うかもしれません。

一般的に平均値は、一部の大きい(または小さい)数値に引っ張られてしまう傾向があります。一方、データを大きい(または小さい)順に並べてちょうど真ん中にくる「中央値」は実態に近い数字だと言えます。

そのため、65歳以上世帯の貯蓄は1677万円が相場ともいえるでしょう。

ただし、どの世帯も中央値である1677万円を保有しているわけではありません。

貯蓄額ごとの内訳を見ると、2000万円を超える世帯が42.5%なのに対し、1000万円未満は約36%います。貯蓄がある世帯、貯蓄がない世帯がいるとよくわかります。

貯蓄格差の原因はそれぞれありますが、退職金や相続の有無なども大きいと考えられます。