住宅ローンを組む際の注意点
実際には住宅ローン借入時の平均年齢は40歳前後になることが多く、借入期間は30~35年になるのが一般的なので、完済時の年齢が70~75歳になることが少なくありません。
近年では晩婚化による住宅購入の遅れや不動産価格・建築費の高騰などの影響もあって、完済年齢が上昇する傾向があります。
また金融広報中央委員会の「知るぽると」の令和4年(2022年)「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」によると、世帯主の年齢が70代の借入金がある世帯は調査総世帯の10.1%で、その中の住宅ローン残高の平均値は463万円となっています。
しかし完済が65歳を超える返済計画は、その時点で過剰なローンを組んでいると言わざるを得ません。
住宅ローンの完済年齢が高いことがハイリスクになる理由には以下の点があります。
- 終身雇用、年功序列の崩壊
- 手取り年収が増えていない
- 退職金が減額している
- 金利が上昇するリスクがある
上記のほかに人口減少、少子高齢化が進行している我が国では、税金や社会保険料の負担も大きくなる傾向があります。
返済期間中に上手に「繰り上げ返済」ができれば良いのですが、そうでなければ退職後にも再雇用制度などを利用して収入を得なければなりません。
また、完済年齢が65歳を超えている人が慌てて65歳までに完済するために無理して一度に繰り上げ返済してしまうと、手持ちの資金がなくなって老後破産してしまうこともあります。
そのため住宅ローンを組む際には、最初から完済時の年齢を65歳以内にしておくことが大切です。
またたとえ70歳まで雇用が継続されたとしても、医療費の負担が増えて生活が不安定になりかねないので注意が必要です。
したがってどうしても完済時の年齢が定年以降になってしまう場合には、途中で少しずつ繰り上げ返済して、できるだけ返済期間を短縮することが大切です。