なぜ関西では納豆をあまり食べないのか?

平安時代に書かれた『延喜式』や『新猿楽記』には、納豆に該当する項目が記されています。

さらに京都の一部地域では「わらつと納豆」「納豆餅」などの風習もありますから、関西でも納豆を食べる習慣が根付いていてもおかしくないはずです。

それでは、なぜ関西では納豆をあまり食べないのでしょうか?

諸説ありますが、主な理由として納豆文化の有無と気候が関係しているのではないかと考えられます。

関東では、早いうちから納豆売りが街を歩く光景がよく見られたようで、専門業者が納豆を作っていたことがうかがえます。

一方関西では、農村部の住民が自宅で作るものでした。

また、冬に気温が大きく下がる関東をはじめとした東日本では、納豆は保存食として重宝されていました。

しかし関西以西は比較的温暖だったため、東日本ほど納豆が普及しなかったと考えられます。

納豆づくりがあまり専業化されておらず、東日本ほど保存食が求められなかった気候条件が、関西に納豆が根付かなかった理由なのかもしれませんね。

関東と関西では納豆の味の好みが違うって本当?

全国的に見ると関西は納豆の購入量が少ないですが、以前より納豆を食べる人は増加傾向にあります。

しかし、納豆の味の好みは関東とは違うようです。

関東では納豆の香りがしっかりと漂い、醤油の味がはっきりとしたタレを使うスタンダードな納豆が好まれる模様。

一方関西では「納豆独特の臭いが苦手」という人が一定数いるため、納豆の香りは控えめで、出汁の味を感じられる甘めのタレが好まれているようです。

実際に関西のスーパーの棚を見てみると、納豆の臭いがしないことを売りにした商品がよく並んでいますよ。

また、納豆の香りをカバーできるからか、関西では「しそ海苔」や「わさび」といったフレーバー付きのものも人気があります。

関西人は納豆が苦手というより食べる機会が少なかった?いろんなフレーバーを試してみて

家計調査の結果を見ると、関西の納豆への支出額は全国平均より下回っていることがわかりました。

納豆文化の有無や気候条件が、関西における納豆の普及に影響があったのかもしれませんね。

しかし、近年は関西でも納豆を食べる人が増加中。

関西では納豆の臭いが控えめなものや、ダシの味を感じられるタレが人気なようですよ。

また、納豆の臭いをカバーできるフレーバー付きのものもよく購入されています。

関西を訪れるときは、フレーバー付きの納豆を試してみるのも良いかもしれませんね!

参考資料

太田 彩子