日本の伝統的な発酵食品、納豆。
栄養素を豊富に含んでおり、日々の食卓に欠かせない食べ物です。
9月も食品の値上げが続いている中、比較的安価で手に入る納豆は家計の強い味方でもあります。
しかし巷では、「関西人は納豆が苦手」「独特の臭いが受け付けないらしい」という説がまことしやかにささやかれています。
実際関西人は納豆に苦手意識を持っており、食べる場面もほとんどないのでしょうか?
そこで今回は、関西人は本当に納豆が苦手なのか、支出額や歴史的な背景などをもとに考えてみます。
※編集部注:外部配信先では【一覧表】などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
関西人は納豆のことをどう思っているの?ネット上の声を紹介
関西人は納豆のことをどう思っているのでしょうか?
まずはネット上の声を紹介します。
- 何回か納豆を食べてみたけど、独特の臭いが苦手・・・
- 苦手というより、そもそもスーパーで買って食卓に並べることがなかった。関西では納豆を食べる習慣があまり根付いていないのかも。
- 小さい頃は家で見かけることがなかったな。大人になってから初めて買った。
- たまに食べたくなるから、月1くらいで納豆を食べてるよ。
- 健康のために毎日食べてます!
関西人でも、人によって食べるかどうか分かれているようですね。
また、「苦手というわけではなく、納豆を食べる習慣があまりないのでは」という意見も印象的です。
地方ごとの納豆への支出額を確認しよう!関西は何位?
「関西では納豆を食べる習慣がないのでは」という考えは本当なのでしょうか?
今回は、総務省統計局が公表している家計調査の結果をもとに考察します。
まずは、地方ごとの納豆への支出額を確認してみましょう。
家計調査(二人以上の世帯、都市階級・地方・都道府県庁所在市別)をもとに下記の【一覧表】を作成しました。
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出所:総務省統計局「家計調査 <品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格 6都市階級・地方・都道府県庁所在市別(支出金額及び購入数量のみ)-二人以上の世帯」を参考に筆者作成
3パック入りの納豆の値段を100円とすると、全国平均では年間約126パック、関西地方は年間約96パック食べている計算になります。
全国平均と関西地方で約30パックの差があるため、「関西では関東に比べて納豆を食べない」という考えはできるかもしれません。
続いて、家計調査(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)をもとに、関西地方の府県庁所在地における納豆への支出額を確認します。
参考までに、全国平均、トップ3の自治体、東京都区部の結果も【一覧表】に記載してみました。
関西で全国平均以上の金額を納豆に使っているのは大津市のみで、残りは全国平均以下でした。
やはり関西では、納豆を購入して食べる習慣が他の地域ほど根付いていないのかもしれません。
なぜ関西では納豆をあまり食べないのか?
平安時代に書かれた『延喜式』や『新猿楽記』には、納豆に該当する項目が記されています。
さらに京都の一部地域では「わらつと納豆」「納豆餅」などの風習もありますから、関西でも納豆を食べる習慣が根付いていてもおかしくないはずです。
それでは、なぜ関西では納豆をあまり食べないのでしょうか?
諸説ありますが、主な理由として納豆文化の有無と気候が関係しているのではないかと考えられます。
関東では、早いうちから納豆売りが街を歩く光景がよく見られたようで、専門業者が納豆を作っていたことがうかがえます。
一方関西では、農村部の住民が自宅で作るものでした。
また、冬に気温が大きく下がる関東をはじめとした東日本では、納豆は保存食として重宝されていました。
しかし関西以西は比較的温暖だったため、東日本ほど納豆が普及しなかったと考えられます。
納豆づくりがあまり専業化されておらず、東日本ほど保存食が求められなかった気候条件が、関西に納豆が根付かなかった理由なのかもしれませんね。
関東と関西では納豆の味の好みが違うって本当?
全国的に見ると関西は納豆の購入量が少ないですが、以前より納豆を食べる人は増加傾向にあります。
しかし、納豆の味の好みは関東とは違うようです。
関東では納豆の香りがしっかりと漂い、醤油の味がはっきりとしたタレを使うスタンダードな納豆が好まれる模様。
一方関西では「納豆独特の臭いが苦手」という人が一定数いるため、納豆の香りは控えめで、出汁の味を感じられる甘めのタレが好まれているようです。
実際に関西のスーパーの棚を見てみると、納豆の臭いがしないことを売りにした商品がよく並んでいますよ。
また、納豆の香りをカバーできるからか、関西では「しそ海苔」や「わさび」といったフレーバー付きのものも人気があります。
関西人は納豆が苦手というより食べる機会が少なかった?いろんなフレーバーを試してみて
家計調査の結果を見ると、関西の納豆への支出額は全国平均より下回っていることがわかりました。
納豆文化の有無や気候条件が、関西における納豆の普及に影響があったのかもしれませんね。
しかし、近年は関西でも納豆を食べる人が増加中。
関西では納豆の臭いが控えめなものや、ダシの味を感じられるタレが人気なようですよ。
また、納豆の臭いをカバーできるフレーバー付きのものもよく購入されています。
関西を訪れるときは、フレーバー付きの納豆を試してみるのも良いかもしれませんね!
参考資料
- 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(2020年(令和2年)~2022年(令和4年)平均)」
- 総務省統計局「家計調査 <品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格 6都市階級・地方・都道府県庁所在市別(支出金額及び購入数量のみ)-二人以上の世帯」
- 農林水産省「納豆餅 京都府」
- 農林水産省「関東地方 茨城県」
太田 彩子