今年も大きな盛り上がりを見せた第105回 全国高校野球選手権大会(以下、甲子園)。熱い試合はもちろん、球児の髪型にも注目が集まった大会でした。

これまで高校球児=丸刈りが当たり前でしたが、甲子園ベスト8に残った学校のうち3校が脱丸刈り。優勝した慶應義塾高校も脱丸刈りだったため、ネット上では「丸刈り論争」が白熱しています。

高校野球で丸刈り強制ではないチームが増えたのは、野球人口の減少や子供たちの生活環境の変化など、さまざまな要因が絡み合っています。

一部のネットユーザーから、「丸刈りの強制は良くない」という声も…。そこで今回、部員の髪型を丸刈りで統一するチームの監督に話を聞き、現場のリアルを追ってきました。

「君津商業」を率いる29歳の金城監督

出所:筆者撮影

快く取材を受けてくれたのは、県立君津商業高校野球部です。

全国屈指の激戦区・千葉県でも確かな力を示しており、夏の千葉県大会では2回戦でシード校の県立千葉北高校に勝利(13対12)。ベスト16進出がかかる4回戦で負けて(4対5)しまったものの、光英VERITAS高校と延長10回の熱戦を繰り広げました。

出所:筆者撮影

指導するのは2021年からチームを率いる29歳の金城歩睦監督。一人ひとりが自ら考え、積極的に行動する力を引き出す「ボトムアップ理論」を高校野球に取り入れ、選手たちが輝ける組織作りを心がけています。

部員の髪型を丸刈りに統一するのと、ボトムアップ理論。矛盾しているように思えますが、実はしっかりとしたチームマネジメントのもと進められていたのです。