子育てをしている世帯においては、他のパパやママの収入がどのくらいあるのか気になったことはないでしょうか。
周囲の子どもを持つ世帯の収入や支出、貯蓄事情を知る機会はほとんどないため、「自分の家の収入は少ないのか」「貯蓄はできているほうなのか」など、比較が難しいかと思います。
2023年7月4日に公表された資料によると、18歳未満の児童がいる「子育て世帯」の平均世帯収入は全世帯よりも高いことがわかりました。
調査結果の概要や、共働き世帯の割合や子育て世代の貯蓄事情などについても解説しているので、ご自身の家庭がどの位置にいるのかの参考にしてみてください。
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意外にお金持ちが多い?子育て世帯の平均年収
まずは、18歳未満の児童がいる子育て世帯の平均年収を確認していきましょう。
厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」の調査では、2021年の子育て世帯の平均所得金額は785万円となっています(【図表1】参照)。
子育て世帯の所得の内訳は下記のとおりです。
- 総所得:785万円
- 稼働所得:721万7000円
(うち雇用者所得:689万7000円) - 公的年金・恩給:24万5000円
- 財産所得:11万6000円
- 年金以外の社会保障給付金:19万1000円
(うち児童手当等:15万3000円) - 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得:8万1000円
稼働所得の内訳にある「雇用者所得」の平均金額は「689万7000円」となっていることから、子育て世帯の平均的な世帯年収は「600万円台」が多いとうかがえます。
※同調査では雇用者所得について「※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額をいい、税金や社会保険料を含む」と定義しており、年収とほぼ同義であることがわかります。
厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」の調査では、世帯年収の中央値は423万円であり、年収600万円台の世帯年収割合は7.3%となっています。
中央値が423万円であることと、ボリュームゾーンが「200〜300万円未満」となっていることから、子育て世帯の平均年収である「600万円台」は、比較的「収入が多い世帯」と言えます。
●子育て世帯は「共働き」の割合が高い
子育て世帯の平均収入が全世帯の平均年収よりも高い背景として、「共働き率の高さ」が関与しているとうかがえます。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」の子育て世帯の共働き率によると、75.7%の母親が「仕事あり」と回答しており、7割以上が共働きであることがわかります。
共働き率は2004年では56.7%、2013年で63.1%、2023年で75.7%と年々増加傾向にあります。
では、雇用形態についてはどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省の同調査による「末子の年齢階級別にみた母の仕事の状況の年次推移」をみると、「非正規の職員・従業員」が最も多く割合を占めています。
「非正規の職員・従業員」の割合が依然として多いものの、「正規の職員・従業員」が上昇傾向をみせており、反対に「仕事なし」の割合は減少傾向となっています。
上記から、共働きが増加傾向にありますが、女性の場合はパートといった非正規で働く人が多い一方で、比較的早い段階から正社員として復帰する割合も増えているとうかがえます。
高収入でも生活が苦しい?年収600万円台世帯の貯蓄額と負債額
子育て世帯の平均収入は「600万円台」であり、全世帯の平均収入と比較すると、高収入であることがわかります。
しかし、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」の調査では、子育て世帯の半数以上が「生活が苦しい」と感じています。
全世帯の生活意識では「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答した世帯が51.3%であるのに対して、子育て世帯は54.7%と約3ポイントほど高い結果となっています。
全世帯の平均収入よりも高いにもかかわらず、子育て世帯では「生活に余裕がない」「家計が厳しい」と感じる世帯が多いとうかがえます。
では、子育て世帯の平均収入である「年収600万円台」の世帯の貯蓄額と負債額はどのようになっているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」の、二人以上の勤労世帯における世帯年収600万円台の貯蓄額は【図表6】の結果となりました。
平均貯蓄額は600万円〜650万円世帯で「1130万円」、650万円〜700万円世帯で「1134万円」となっています。
続いて、世帯年収600万円台の負債額をみていきましょう。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」の二人以上の勤労世帯における、年収600万円台世帯の負債額は【図表7】の結果となりました。
平均負債額は、600万円〜650万円世帯で「839万円」、650万円〜700万円世帯で「860万円」です。
内訳としては、負債の大部分が「住宅・土地のための負債(住宅ローンの返済費用など)」となっています。
上記の貯蓄額と負債額を差し引くと、「子どもの教育費」や「老後資金」などに充てられる実際の純貯蓄額がわかります。
平均貯蓄額だけをみると1000万円を超えていることから「生活にゆとりがある」と感じます。
しかし実際は、純貯蓄額は「300万円以下」であり、子どもの教育資金や老後資金のやりくりがまだ十分に出来ていない世帯が多いとうかがえます。
結果的に家計の支出を削って、住宅ローンの返済に充てたり、子どもの教育資金を貯めたりすることから「生活が苦しい」と感じる世帯が多いのでしょう。
子どもを持つ世帯の場合は、家のローンや子どもの教育資金などがかかるため、「老後資金の準備」にまで、なかなか手が回らないのが現状です。
そのため、あらかじめ今後のライフプランにかかる大きな支出を想定・シミュレーションし、早い段階から目的別に貯蓄をしていくことが大切になるでしょう。
子育て世帯こそ早めの老後資金の準備を
本記事では、18歳未満の児童がいる「子育て世帯」の平均世帯収入について解説していきました。
全世帯の平均所得が「545万7000円」であるのに対して、子育て世帯の平均所得は「785万円」と、1.4倍も多い結果となりました。
上記をみると一見、「子育て世帯は裕福な家庭が多い」と思ってしまいますが、実際は半数以上が「生活が苦しい」と感じているようです。
その背景として、家のローンや子どもの教育資金、老後資金など、返済や貯蓄に回す費用が多いことから、家計の水準を上げられないのが要因の1つでしょう。
子育て世帯は、子どもの自立するまで何かとお金がかかります。
そのため、事前に子どもの教育にかかる費用や、家の購入にかかる費用などをシミュレーションしておき、コツコツと貯蓄ができるように計画が立てられると良いでしょう。
現代では、共働き率が増加しており、国も育児と仕事が両立できるように様々な支援をしています。
夫婦で協力して家計がより豊かになるように、今一度ライフプランやマネープランを見直してみてはいかがでしょうか。
参考資料
太田 彩子