3. 60歳代の半数以上が就労?はたらくシニアの実態
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社の行った調査では、81.4%のシニア世代が65歳以降も働きたいと回答しています。
このように現代では、現役を引退してもなお働きたいという「はたらくシニア」が年々増加傾向にあります。
実際に総務省の調査データでは、高齢就業者数は18年連続で増加し続けており、2021年には過去最多の909万人にまで上昇しています。
さらに、総務省の同調査における「高齢者の就業率の推移」では、60〜65歳で71.5%、65〜69歳で50.3%のシニアが就労していることがわかります。
前章でお伝えしたように、現代の年金受給額では年金だけで生活していくのは、人によっては難しいものとなっています。
そのため「働けるうちは働いて生活しよう」という人が多くなってきているのでしょう。
また、日本の老齢年金制度では、年金受給の開始時期を繰下げることで受給額を増やすことができます。
1ヵ月年金開始時期を繰り下げるごとに0.7%増え、最大10年で84%も増やすことができ、その増額率が変わることはありません。
上記のことから、少しでも長く働いて年金受給を繰り下げ、受給額を増やしたいと考えている人も多いのではないかとうかがえます。
とはいえ、高齢になると現役時代よりも、怪我や病気のリスクが高くなることから、突然働けなくなるケースも考慮しておかなければいけません。
万が一繰下げ受給をしない場合、年金以外にあとどのくらい必要になるのかも、事前に想定しておけると、老後生活の準備が今からしやすくなるでしょう。
4. 自分の年金受給額はいくらか事前に確認を
本記事では、60歳〜69歳の厚生年金・国民年金の平均月額について解説していきました。
65歳〜69歳の平均月額は厚生年金で「14万3613円」、国民年金で「5万7739円」となっており、国民年金の場合は年金だけで生活していくには心もとない金額といえます。
また、60歳〜64歳に繰上げ受給をする場合は、平均月額は厚生年金で「7万7274円」、国民年金で「4万2512円」と、65歳以降よりも少なくなります。
反対に、年金受給の開始時期を繰り下げれば、その分受給額が増加します。
「老後にいくら年金がもらえるのか不安」と感じている方は、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分が受け取れる年金額を確認してみると良いでしょう。
そのうえで、「繰上げた場合」「繰下げた場合」もシミュレーションしておくと、老後のライフプランが立てやすくなるため、本記事を参考に今一度確認してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社「2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和3年度」
太田 彩子