高齢者世帯の生活支出は?年金だけで生活している人は44%

続いては、高齢者世帯の生活支出についてみていきましょう。

生命保険文化センターの発表した調査では、夫婦で老後生活を送ることを想定したうえで必要と考える最低日常生活費は「月額で平均23万2000円」と発表しています。

前章で紹介した収入を振り返ると、トータルの収入「約25万円」であればギリギリ到達できますが、年金額「約16万6000円」だけでは、生活していくのが厳しい状況だとうかがえます。

実際に、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、100%年金だけで生活している人は、全体の44%と半数にも満たない結果となっています。

上記の結果からも、半数以上の高齢者世帯は年金だけでは生活できておらず、就労して補ったり、貯蓄を切り崩したりして老後生活を送っていることがわかります。

60歳代の貯蓄実態は?

前章にて、半数以上の人が年金だけで老後生活をしておらず、就労または貯蓄を切り崩して生活していることがわかりました。

現在日本では、一般的な年金受給開始年齢が原則65歳からとなっています。

では、60歳代の方は平均でどのくらい貯蓄を保有しているのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」によると、60歳代・二人以上の金融資産保有額は【図表3】の結果となりました。

60歳代の平均貯蓄額は「1819万円」で、中央値は「700万円」となりました。

平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、極端に貯蓄額が多い人がいた場合、平均値が偏る傾向にあります。

一方で中央値は、対象となるデータを順に並べ、中央にある値を指しており、一般的な貯蓄額の実態をしりたい方は中央値となる「700万円」を参考にすることをおすすめします。

貯蓄の割合をみると、「金融資産非保有者」と「貯蓄額3000万円以上」がほぼ同じ割合を占めており、貯蓄がない人とある人の差が生じているのがわかります。

貯蓄は、早い段階から始めたほうが、その分毎月の積立額も少なく済みます。

「老後は安泰した生活が送りたい」と考えている方は、老後の収入と支出をしっかりと把握し、足りない分は事前に貯蓄をしておくことが大切になるでしょう。