【Z世代】指導の際に気をつけていること
指導の際に気をつけている点については、「生徒に敬意を持ちながら接し、対等に話し合うことです。あと、今の生徒は持っている情報が多いので、整理してあげることを心がけています。生徒が自分自身で選択する環境が作れるかが肝心ですね」と説明してくれました。
実は古谷監督、数多くのメジャーリーガーを輩出しているドミニカ共和国に渡り、現地の指導法を勉強した経験を持っています。そこで強く脳裏に焼き付いているのは、選手とコーチが対等に話し合う姿。
以前までの高校野球では、生徒と監督が対等に話す光景はあまり見られませんでした。筆者自身も10年以上前に高校の野球部に所属していましたが、周りはトップダウン型のチームばかりで、生徒の意見が反映されるケースは少なかったように思います。
それが現在では、生徒からの提案やアイディアを募るボトムアップ型のチームが増加。この状況について古谷監督は、「まだまだ変化に対応し切れていないことが多いです。変わるべきは大人。大人が社会の変化に対応していく必要があると強く感じますね」と熱く語ってくれました。
最新技術も駆使して「野球技術向上」を目指す
高校野球に15年以上携わってきた古谷監督。成功や失敗、さまざまな経験を経て現在の指導法にたどり着いたという。
前述した指導法はもちろん、最新技術を駆使した生徒の野球技術向上にも力を入れています。
具体的には、プロ野球などでも使われている簡易型弾道測定器「ラプソード」を実費で購入。投手の球速やボールの回転数、変化量などを測定することで、より論理的な指導が可能になったそう。
ほかにも理学療法士やスポーツトレーナーに依頼をして、専門的な指導を受ける機会を作るなど、生徒のためを思った行動ばかり。
実際に指導を受ける小島悠記投手(2年)に話を聞いてみると、「古谷監督は幅広い人脈を駆使してくださるので、疑問に対する正確な答えがすぐにでます。それ以外にも、僕たちが間違った練習をしないよう、細かく指導してくれます」と答えてくれました。
変わっているのは社会や周りの環境
時代に合わせ、変わらなくてはいけない部分は変える柔軟な古谷監督。
15年以上もの間、高校野球に携わってきた理由を聞いてみると、「生徒が引退した後も部活に顔を出したり、卒業生が食事会をセッティングしてくれることですかね」と少しはにかみながら話す様子が印象的でした。
変わっているのは、社会や周りの環境。時代は変われど、Z世代も人間の根本は変わりません。敬意を持って接することが大切です。
社会では行き過ぎたトップダウンによって、大きなニュースになるような問題も生じています。上司は部下と対等に話す場を作り、意見を交わし合うことが組織の活性化につながるのではないでしょうか。
小野田 裕太