幼少期からインターネットやスマートフォンに慣れ親しんできた「Z世代」が社会人として働き始めて数年。
現場からは、「どのようにコミュニケーションを取れば良いのか分からない」という声がよくあがります。
そこで今回、普段から生徒と密に接している高校野球の監督から、Z世代の生徒たちの特徴や指導の際に気をつけていることを聞いてきました。
生徒の「自主性を尊重」する監督に話を聞いた
高校野球を取り巻く環境は、コロナ禍を経て大きく変化。これまでは、坊主を強制される高校がほとんどでしたが、2023年の全国高等学校野球選手権大会では、髪型自由の高校が増えています。
その背景には、野球人口の減少、子供たちの生活環境の変化などがあげられます。現場のリアルを知るため、全国屈指の激戦区・千葉県で存在感を示す四街道高校に足を運んできました。
1951年に創立された四街道高校は、地元住民から「四高(よつこう)」の愛称で親しまれています。
野球部は2018年・夏の西千葉大会でベスト8。2021年には秋の千葉大会で、甲子園・春夏連続出場中だった専大松戸高校に勝利するなど、千葉の公立高校の中では頭が一つ抜けた存在と言えるでしょう。
指導する古谷健監督は生徒の自主性を尊重する監督で、公式戦での木製バットの使用や投手の分業制を公立校で行うなど、常識にとらわれない柔軟な指導を行ってきました。
コミュニケーションに関しても、一人一人の意見を汲み取るため、生徒からの質問を「LINE」やアスリートのコンディション管理をする「アトレータ」というアプリでも受け付けているそう。また、一方的に聞くだけでなく、生徒に向けた課題も出しています。
【Z世代】根本は変わらないが、持っている情報は多い
そんな古谷監督に、現場で感じる高校野球の変化について聞いてみると、「やはり坊主を強制する高校は減ってきましたね。徐々に指導者の考え方が柔軟になってきた印象を受けます。坊主が嫌で高校野球をやらないという子もいたので、選択肢が増えたのはとても良いことです」と話してくれました。
四街道高校でも、髪型は自由。以前までは坊主=野球部という認識があったものの、それも変わりつつあるそうです。
Z世代の生徒たちについては、「人間の根本は変わっていないと思います。30〜40年以上も前から『最近の子供は…』と言われていますが、変わっているのは社会や周りの環境。これまでの世代と大きく変わったと感じるのは、情報量ですかね」とのこと。
幼少期からスマートフォンが身近にあるZ世代は、疑問が生まれるとすぐに調べることが当たり前の環境で生活しているため、持っている情報は多いそうです。