先週の世界株式市場の動き
多くの国で株価下落が目立った1週間、日本株は稀に見る粗い値動き
先週(2017年11月6日~11月10日)の世界の株式市場は、調整局面に入った市場が目立ちました。また、週次ベースで見た日本株の上昇は続いていますが、週後半は乱高下に見舞われるなど、その上昇基調に変化が見られます。
- 日経平均株価(日本) +0.6%上昇
- TOPIX(日本) +0.4%上昇
- NYダウ(米国) ▲0.5%下落
- Nasdaq指数(米国) ▲0.2%下落
- FTSE100(英国) ▲1.7%下落
- DAX(ドイツ) ▲2.6%下落
- 香港ハンセン指数(香港) +1.8%上昇
- 上海総合指数(中国) +1.8%上昇
- ムンバイSensex(インド) ▲1.1%下落
- ボベスパ指数(ブラジル) ▲2.4%下落
注:いずれも先週末(11月10日)と先々週末(11月3日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。
多くの国で株価は下落、日本などボラタイルな市場も散見
先週は、トランプ大統領のアジア歴訪以外は特に目立った政治イベントはなく、また、重要な経済指標の発表もありませんでした。
こうした静かな環境にもかかわらず、いや、こうした静かな環境だったからこそでしょうか、多くの株式市場が下落となり、日本など一部市場はボラタイル(値動きが激しい)になっています。
欧州株と新興国株が冴えない値動き、ブラジル株の不振が顕著
香港や上海など一部市場を除くと、世界の株式市場は総じて調整局面に入った兆候が見られました。欧州市場は大幅安となり、多くの新興国市場も値を下げました。
欧州市場では、上記にある英国やドイツ以外の市場も下落が目立ちました。スペインのカタルーニャ州の独立問題を嫌気した他、利益確定売りに押された結果と見られます。
また、新興国市場では、9月まで好調だったブラジル株の下落が止まらず、先週も大幅下落を強いられました。ブラジル株を始め、新興国市場は米国の利上げ観測の影響がジワリジワリと効いているかもしれません。
米国株も下落、週後半のNYダウは久々の3日続落に
その米国株も久しぶりに調整色を強めました。NYダウは週後半に3日続落となり、Nasdaq指数も冴えない値動きでした。
ただ、3日続落した割には、NYダウの下落幅は小幅に止まっており、本格的な調整局面に入ったとはまだ言い切れないのが実情です。トランプ大統領が帰国する今週以降が注目されます。
日本株は稀に見る粗い値動き、上昇基調の終焉か?
先週、最もボラタイルだったのが日本株でした。週次ベースで見れば小幅上昇を維持しましたが、週後半は上昇基調に歯止めがかかった形となり、とりわけ、9日(木)はジェットコースター級のアップダウンとなりました。
改めて先週を振り返ってみると、好調な企業決算発表などもあり、取引時間中に約26年ぶりの高値を記録したものの、高値高揚感はすっかり消失して週末を迎えたようです。
今週の世界株式市場の注目点
重要イベントが少ない中、トランプ大統領帰国後の米国株が焦点
今週(11月13日~11月17日)は、先週に続いて重要イベントが少ない週です。ただ、その分、先週同様に株価の動きに注意が必要となりそうです。その中でも、トランプ大統領が帰国した後の米国株式市場に注目が集まるでしょう。
今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。
- 11月13日:米国・ASEAN首脳会談(フィリピン)
- 11月13日:工作機械受注(10月分、日本)
- 11月14日:トランプ大統領が帰国(米国)
- 11月15日:GDP速報値(7-9月期、日本)
- 11月15日:CPIと小売売上(10月分、米国)
- 11月16日:鉱工業生産(10月分、米国)
日程は現地時間。現時点での予定のため、変更になる可能性あり。
重要イベントの少ない週だからこそ、株価の動きに要注意
今週も目立った政治イベントはなく、また、重要な経済指標の発表も少ないようです。しかし、そういった時に株価の動きが激しくなるのは、既に先週経験済みです。
今週も引き続き、ボラタイルな株式市場に注意が必要と言えましょう。
トランプ大統領が帰国して様々な事案がクローズアップされる
最も注目すべきは米国株になりそうです。トランプ大統領がアジア歴訪から帰国する14日(火)からは、減税法案をめぐる議会との駆け引き、いわゆるロシアンゲート疑惑の捜査の行方、北朝鮮問題を巡る外交問題など、様々な事案が再びクローズアップされます。
こうした中、先週末に3日続落となった米国株の動向が大きな焦点となるでしょう。
日本株のボラタイルな動きは続くのか?銀行株の決算に注目
日本株の行方も気掛かりです。先週後半の粗い値動きが続くならば、直近2ヶ月の上昇が大き過ぎた分、その調整が大きくなっても不思議ではありません。
また、企業の決算発表はピークを超えた感があるいますが、14日(火)はメガバンクや日本郵政など金融銘柄の決算が控えています。特に、銀行株の動きは全体に与える影響も大きいため、ネガティブサプライズを伴うような決算内容になった時の心構えは必要不可欠と言えましょう。
その他、下落基調が続く新興国市場の動きも含めて、今週も世界の株式相場の動きから目が離せない1週間になりそうです。
LIMO編集部