2. 厚生年金保険は何年で元がとれるか

厚生年金についても考えてみましょう。

厚生年金は、給与やボーナスによって、毎年保険料が変わることを考えると計算が複雑になります。

ある給与所得者の給与がずっと変わらないと考えて、計算してみましょう。

※実際には、新入社員時代は年収は少なく、50歳代頃に増えてくるのが一般的ですが、ここでは平均的に年収500万円ということで考えます。

これから就職する大卒のAさんが、60歳まで働くと想定します。

2.1 毎月の厚生年金保険料

毎月の給与は30万円、ボーナスは1回につき70万円で年収500万円。

月収30万円の方の標準報酬月額は30万円、一般の厚生年金の加入者の方は、厚生年金の保険料率が18.3%の5万4900円。

この金額を労使折半で支払うため、実際は2万7450円を負担することとなります。

2万7450円 × 456月(12月 × 38年)= 1251万7200円

2.2 賞与の厚生年金保険料

ボーナス 1回につき70万円を年2回

70万円 × 18.3% ÷ 2(労使折半のため) × 年2回 × 38年 = 486万7800円

合計で、支払う保険料は、

1251万7200円 + 486万7800円 = 1738万5000円

厚生年金保険料を払う方は、同時に国民年金保険料を払う必要はありません。

2.3 受け取る厚生年金額

実際に受け取る厚生年金額は、

500万円 × 5.481 / 1000 × 38年 = 104万1390円

Aさんの場合、大学2年間の国民年金保険料は学生納付特例を使っており、あとから2年分を追納するとします。

これを、支払う保険料と受け取る年金で考えると、

  • 国民年金保険料 2年分19万8240円
  • 厚生年金保険料38年分1738万5000円 合計で1758万3240円

一方、受け取り年金額は

  • 老齢基礎年金(国民年金) 年額 79万5000円
  • 老齢厚生年金 年額104万1390円 合計で183万6390円

1758万5000円 ÷ 183万6390円 = 9.57...年 約10年となり、65歳から75歳まで受け取ることで、元は取れるように考えられます。

実際には、労使折半分の使用者側が払うものも、労働の対価と考える方もいらっしゃいますが、今回は純粋に支払った保険料で考えています。