突然ですが、皆さんは「身の丈に合った老後の生活水準」について考えたことはありますか?

筆者は4年前に、「ナイアガラの滝が見たい!」と思い立ち夏季休暇をカナダのトロントで過ごしたことがあります。

色々な思い出の中でも印象的だったのは、とある資産家が建てた「カーサ・ローマ」という98もの部屋と噴水のある広大なガーデンが印象的な豪華絢爛なお屋敷です。

ここは、映画「ハリーポッター」や「美女と野獣」のロケ地として使用されたこともある有名なお屋敷ですが、経済的な理由で建築からわずか10年で家主が手放すことになった建物でもあります。

このように、収入に対する生活水準が高すぎて生活を維持できない話は、私たちの老後にも十分ありえることですよね。

今回は、いまのシニアの年金事情を参考に老後の生活について考えていきたいと思います。

1. 日本の年金制度は「2階建て」仕組みをおさらい

まず最初に、日本の年金制度について簡単におさらいしておきましょう。

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2つで構成されており「2階建て」ともいわれます。

それぞれの仕組みの違いを見ていきましょう。

1.1 国民年金【1階】

日本に住む20~60歳未満の人が、原則として加入するのが「国民年金」です。

収入の有無に関わらず、20歳から60歳になるまでの40年間、保険料を支払わなければいけません。

保険料は皆一律で、2023年度は月額1万6520円です。年度ごとに見直しが行われます。

40年間、保険料を全て支払えば老後に満額の国民年金(老齢基礎年金)を受給することができます。未納があれば、満額からその分が差し引かれる仕組みです。

1.2 厚生年金【2階】

厚生年金は、主に会社員や公務員などが加入する年金です。

1階部分の国民年金に上乗せする形で加入します。厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬により決定するため、個々で保険料が異なります。

老後は、国民年金(基礎年金)に、現役時代の年金加入期間や報酬により決定した「報酬比例」部分が上乗せされて年金が支給される仕組みです。

2.【厚生年金】平均受給額(月額)は?

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、いまのシニア世代の厚生年金の受給額を見ていきましょう。

なお、厚生年金の年金額には国民年金(老齢基礎年金)部分を含みますのでご留意ください。

2.1 厚生年金「年金平均月額」

全体平均月額:14万3965円

  • 男性平均月額:16万3380円
  • 女性平均月額:10万4686円

2.2 厚生年金「1万円刻みの分布」

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

厚生年金の平均受給月額は「14万3965円」でした。しかし、ボリュームゾーンは「10万円以上~11万円未満」と、平均と4万円ほどの乖離が見られます。

現役時代の年金加入期間や報酬により個人差がでやすいため、厚生年金の平均値は参考程度にみておきましょう。

次に、国民年金の受給額も見ていきましょう。