3. 「日本製鉄とJFEの株価」6月以降は両社とも堅調
中国の鋼材市況の改善や、国内の自動車生産の改善などを背景に、鉄鋼の市況は今後改善が期待されると思われるでしょう。
加えて、5月以降進行した円安も追い風となって、6月以降の株価は日本製鉄、JFEホールディングス両社とも堅調な推移となっていると考えられます。
4. 両社の事業上のリスクとは
日本製鉄やJFEの「事業等のリスク」において、同社のリスク要因が多数記載されています。これらを踏まえて、特に次のようなリスク要因には留意したいところです。
- 市況変動リスク
- 他素材との競合
- 気候変動問題への対応
市況変動はとくに短期的に株価に織り込まれやすい要素でしょう。鉄鋼価格にくわえ、中国市況、自動車の販売台数など鉄鋼価格や需給に影響を及ぼす市況変化に留意する必要があります。
また、足元は円安が進行していて追い風要因となることが多いものの、海外での事業展開が盛んなセクターであるため為替変動もリスク要因となります。
鉄はグローバルに盛んに使用されている素材の一つで、常に新素材に対する研究が進められています。鉄鋼の中でより優れた製品が開発される場合もあれば、鉄以外の素材が鉄に置き換わって普及する可能性もあるでしょう。
いずれかの形で製品の競争において劣位におかれれば、業績の構造的な悪化要因となる場合があります。
最後に、鉄鋼は生産過程で大量のエネルギーを使用するため、環境負荷の大きい産業であるとみなされがちです。両社の環境保護に対する取り組みの不備が信用・レピュテーションの悪化につながったり、環境保護のための規制が両社ビジネスの逆風要因となったりするリスクがあります。