日本製鉄(5401)とJFE(5411)の株価の2023年初来の推移は次の通りです。
年初は好調な業績を背景に日本製鉄が力強く上昇しましたが、5月にかけて調整しています。その後は市況の改善などを背景に再び上昇傾向となっています。
今回は日本製鉄とJFEの株価や業績をみていきましょう。
※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
1. 「日本製鉄(5401)の株価」好業績・増配での上昇ののち、減配で調整か
日本製鉄やJFEの本業となる鉄鋼市場は2023年初からグローバルに粗鋼生産が停滞傾向にあるなど、両社にとっては逆風環境でした。
しかし日本製鉄は自社の強固な収益基盤などを活かして好業績を実現し、2022年度決算「在庫評価損益などを除いた実力ベースの利益」において過去最高の7340億円を計上。
また、年間180円への増配を実現したことなどが株価上昇の原動力になったと思われます。
しかし、2023年業績見通しにおいて1500億円の在庫評価損を出して、事業利益ベースでは2022年度対比3000億円以上の減益となる3700億円(2022年度は6940億円)となる見通しを示し、さらに配当も140円に減配する予想を出したことなどもあり、5月末にかけては緩やかに下降線をたどったと考えられます。
2. 「JFE(5411)の株価」市況停滞の影響はうけつつも横ばいを維持したのち回復へ
JFEについては、2022年度第3四半期の決算において年度の事業利益が2350億円とし、市況悪化を背景に相次いで見通しを引き下げています。この時には配当を80円(前期140円)に減配する見通しも示しました。
業績悪化により一時的に株価が下落するタイミングがあったものの、JFEは第3四半期の決算でも業績見通しを下方修正していたことに加え、市況も一部で底打ち感がみられていたこともあり、売りが一巡したのちは横ばい圏での推移になったと考えられます。
またその後5月に発表された2022年度決算においては、販売価格の改善による2023年度の増益見通し、配当を100円へ増配する方針などを明らかにしたため、日本製鉄とは対照的に5月に入って株価が上昇しはじめたと考えられます。