2023年5月12日、一定の収入がある75歳以上の健康保険料を段階的に引き上げる「改正健康保険法」が可決されました。

2024年度から保険料が引き上がる予定で、原則として年金から天引きされます。

では、他に年金から天引きされる種類にはどういったものがあるのでしょうか。

次回の年金支給は8月15日です。

今回は、厚生年金や国民年金から天引きされるお金について解説します。

1. 年金から引かれる税金や社会保険料

年金から天引きされる税金や社会保険料は、以下の通りです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 介護保険料
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料

それぞれ確認していきましょう。

1.1 【年金から天引き】所得税及び復興特別所得税

年金は、所得税及び復興特別所得税の課税対象です。対象となる所得税の種類は「雑所得」で、原則、年金として受け取る分から「公的年金等控除額」を差し引いて計算します。

公的年金等控除額は、年金以外の所得が「1000万円未満」「1000万円超~2000万円未満」「2000万円超」によって控除額が異なります。

それぞれの控除額は、以下の通りです。

  • 所得が年金のみまたは年金以外の所得が年間1000万円以下の場合
  • 年金以外の所得が年間1000万円超~2000万円以下の場合
  • 年金以外の所得が年間2000万円超の場合

1.2 【年金から天引き】住民税

住民税も年金から天引きされる項目の1つです。

原則、以下の条件をすべて満たす場合に年金から天引きされます。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金等を受給
  • 年金等の支給額が年間18万円以上
  • 介護保険料を年金から天引き

1.3 【年金から天引き】介護保険料

介護保険料も年金天引きの対象です。

住民税と同様、年間の年金額が18万円以上であれば天引きされます。

一般的に、所得が高い人ほど支払う保険料の総額は高くなる仕組みです。

保険料は自治体によって違うため、詳細はお住まいの自治体から発信される情報を確認してください。

1.4 【年金から天引き】国民健康保険

国民健康保険の保険料も年金から天引きされる対象です。

年間の年金受給額が18万円以上など、一定の要件を満たす場合に天引きされます。

国民健康保険は、75歳になると後期高齢者医療保険に移行するので、原則として74歳までが天引きの対象です。

1.5 【年金から天引き】後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療保険には75歳以上、もしくは65歳以上75歳未満で一定の障害がある方が加入し、保険料が年金から天引きされます。

年金から保険料が天引きされる条件は、他と同じく年間の年金受給額が18万円以上あることや、介護保険料が天引きされていることなどです。

保険料は、被保険者になる全員が負担する均等割額と、所得に応じて負担する所得割額の合計で算出されます。

2. 年金から天引きされないケース

年間で受給する年金額が18万円未満だと天引きされませんが、その他に天引きされないケースもあります。

自治体によって異なるケースもありますが、一般的な条件は次の通りです。

  • 年度の途中で65歳になった場合
  • 年度の途中で他の市町村から転入した場合
  • 年度の途中で所得段階の区分が変更になった場合
  • 受給する年金の種類が変わった場合
  • 年金を担保に借入れをしている場合

では、天引きされる項目の中で、税金と社会保険料の負担はどちらが大きいのか確認していきましょう。

3. 年金から天引きされる負担額が大きいものは?

年間の年金額を300万円受け取ると仮定した場合、所得税と社会保険料はいくらになるのか計算してみましょう。

3.1 社会保険料

年金額が300万円の場合、藤沢市のケースでは毎月の国民健康保険料がおよそ2万1403円になります。

年間では、約25万円となりました。

3.2 所得税

所得税を求める場合、まずは公的年金等控除額を差し引きます。

300万円-110万円=190万円

さらに、基礎控除や社会保険料控除を差し引きます。

今回は、基礎控除(48万円)と社会保険料控除(25万円)を含んで計算してみましょう。

190万円-48万円-25万円=113万円

税率は5%となるので、年金を300万円受給している人の所得税は、5万6500円となります。

税金と社会保険料で比較すると、社会保険料の負担が大きくなりました。

ただし、一概に社会保険料の負担がいつでも重くなるわけではありません。

世帯の状況や年金の受給額によって負担の割合が変わる点は留意しておきましょう。

4. 年金からの天引きも負担が増している

年金から天引きされる項目について解説しました。

天引きできる条件はいくつかありますが、おおむね年間の受給額が18万円未満だと、天引きできません。

年金の受給額や他の所得があるかにもよりますが、所得税には控除される項目が設けられているため、社会保険料の負担のほうが重くなる傾向があるといえるでしょう。

将来受け取る年金からいくら天引きされるのか把握しておけば、先々の生活設計も立てやすくなります。

年金の受給額が把握できるねんきん定期便を参考にしながら、将来の受給額を自分でもシミュレーションしてみてください。

参考資料

川辺 拓也