2023年度は年金支給額が3年ぶりに引き上げられました。しかし、国民年金の場合、月に1000円ちょっとの増加であり、最近の物価高の中では、効果はないに等しい状況です。
将来、自分がどのくらい年金をもらえるのか、今から知っておくことで、早めの対策を取ることができます。
そこで、国民年金の人と厚生年金の人それぞれの月額の平均額と、厚生年金を受給できる人は年収別の年金受給額の目安を一覧でご紹介します。
さらに老後の生活費の目安もお伝えしますので、ご自身の年金生活をイメージするための手がかりとなるでしょう。
1. 【厚生年金と国民年金】月額平均はいくらか
令和3年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金受給者と厚生年金受給者の平均年金月額をみてみましょう。
1.1 国民年金の平均年金月額
国民年金受給者の平均年金月額は5万6479円です。
令和3年度の国民年金(基礎年金)の満額は6万5075円なので、平均ではこれより少なくなっています。免除や未納によって、満額は受け取れない人がそれなりの数いるということでしょう。
ちなみに、令和3年度末の国民年金保険料の全額免除・猶予者数は612万人、第1号被保険者数(任意加入被保険者を除く)に占める全額免除・猶予者の割合は 43.4% となっています。4割以上の第1号被保険者が追納をしないと将来もらえる年金額が満額にならないということです。
1.2 厚生年金の平均年金月額。年収の目安もシミュレーション
厚生年金受給者の平均年金月額は14万5679円です(国民年金を含む)。年額にすると174万8148円となり、この年金額を受給できる人の年収の目安は約441万円※となります(40年間同じ年収で就業した場合)。
※174万8148円(年金受給額の年額)-78万900円(令和3年度の基礎年金満額)=96万7248円(厚生年金報酬比例部分)
- 平均標準報酬額×5.481/1000×480ヵ月=96万7248円
- 平均標準報酬額=36万7652円
- 36万7652円×12ヵ月=441万1824円
国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は443万円となっているので、平均的な給与をもらっている人の年金額といえるでしょう。
2. 厚生年金「年収200~800万円まで」年金受給額の目安はいくらか年収ごとにシミュレーション
国民年金の場合、年収に関係なく一律であり、保険料を納付した期間に応じて年金額が決まります。
厚生年金の場合は、基礎年金の上乗せである報酬比例部分は、厚生年金の加入期間、および加入中の報酬に基づいて決められます。そのため、働いた期間とその期間の年収によって、受給額は大きく異なります。
自分がだいたいどのくらい年金がもらえるのか、年収と加入期間ごとの受給額の目安を表にしてみたので、確認してみましょう。
厚生年金受給者の年収別受給額の目安(報酬比例部分の年額)2/3
出所:筆者作成
計算には「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」を用いています(百円の位を四捨五入)。
同じ年収で40年間勤務するケースはあまりないと思うので、たとえば、最初の5年間は年収300万円、次の10年間は年収400万円、その次の15年間は年収500万円、最後の10年間は年収600万円と推移していった場合、8万2000円+21万9000円+41万1000円+32万9000円で合計104万1000円となります。
この金額は報酬比例部分のみなので、実際に受け取ることができる年金額はこの額に基礎年金を足した額となります。
令和5年度の基礎年金の満額は79万5000円(67歳以下の場合)なので、この金額を目安にすると183万6000円となります。月額にすると15万3000円です。
3. 老後「月の生活費」の目安は月額15万5000円。その内訳は?
自分が受け取ることができる年金額のおよその見当がついたら、次に示す老後の生活費を参考にして、不足があればどのくらい不足するのか、不足分はどうするのか、今から考えておきましょう。
総務省の家計調査によると、65歳以上の無職単身世帯の1ヵ月の生活費は約14万3000円となっています。この他に税金や社会保険料などの非消費支出が約1万2000円加わり、実支出は約15万5000円となっています。
前出の厚生年金受給者の平均年金月額が14万5679円なので、平均的な年金額を受給できる人でも不足することになります。
4. 老後に向けてiDeCoやNISAで資金作りを
老後にいくら不足するのかイメージできると、実感を伴って、老後の資金作りに取り組めるでしょう。国が後押ししているiDeCoやNISAで老後資金を作れば、税金の控除や非課税での運用ができ、効率よく老後資金を作ることができます。
2024年に始まる新NISAは、制度が恒久化され、非課税投資枠も大幅に拡大されました。早めに始めれば、長期運用による複利効果も期待できます。
公的年金以外の収入源があれば、安心して老後を過ごせるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」
- 総務省「家計調査 家計収支編 第6表 2022年 単身世帯(無職65歳以上)」
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
石倉 博子