定年後再雇用の上告審

被告である企業(自動車学校)は本件高裁判決を不服として、最高裁判所に上訴した。

最高裁判所がどういった判断をするのか。

定年後再雇用者、近い将来に定年を迎える者、そして何よりも雇用主である企業、と膨大な数の、人および組織体が注目することになった。

定年後再雇用の最高裁判所判断

2023年7月20日、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、高裁判決を破棄して、審理を名古屋高等裁判所に差し戻す判決を言い渡した(最高裁令和4年(受)第1293号同5年7月20日第一小法廷判決)。

「定年後再雇用の給与は定年前給与の60%以上」は確定しない結果となりました。

原審である名古屋高裁判決は、是認することができないとした。

具体的には以下のとおりである。

  • 法令違反として格差是正を命じた原審判決は、法令の解釈を誤った違法がある
  • 基本給の性質や目的を踏まえて引き下げの合理性を審理すべきであるとして、判断の枠組みを示した
  • 原審では審理が尽くされているとは言えない。そのため、名古屋高裁に差し戻して改めて審議を行うことを命じた

なお、本判決は、裁判官5名の全員一致の意見としている。

最高裁の裁判官にのみ個別意見の表明が認められている(正確には「(最高裁の)各裁判官の意見を表示しなければならない」、裁判所法11条。本件のように全員一致の場合は個別意見がないことが多いので、個別の意見表明は行われないことになる)。

本判決では「補足意見」や「意見」は出されていない。

定年後再雇用の裁判所判決の行く末

差し戻しとなったことで今後は、名古屋高等裁判所にて再度審議が行われていく。

依然として、注目度の高い訴訟であることに変わりはない。

最高裁が示した判断の枠組みに沿って、再び具体的な数字が出る可能性もある。

今後、本件訴訟がどのように進行していくのか、大変注目である。

参考資料

石川 貴康