2. 厚生年金と国民年金から天引きされない人もいる

年金から天引きされる5つのお金について見ていきましたが、一部では天引きされていない人もいます。

次の年金支給日は8月15日ですが、どういう人が天引きされずに満額の年金が受け取れるのでしょうか。

2.1 税金が天引きされない人とは

所得税や住民税の場合、そもそも年金所得が一定額に満たずに非課税であれば、当然天引きされることがありません。

所得税であれば、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以上が課税の目安となります。住民税の場合、非課税になる所得目安は自治体によって異なります。

なお、遺族年金や障害年金も非課税となるため、所得税等はかかりません。

そのほか、住民税では下記のケースにおいて、年金から天引きされずに普通徴収(口座振替や納付書等)となります。

  • 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
  • 介護保険料が公的年金から天引きされない
  • 天引きする税額が老齢基礎年金等の年額を超える

また、天引きされるのは公的年金の雑所得にかかる税額のみとなるため、その他の所得に対する税額は天引きされません。

くわしくはお住まいの自治体窓口にご確認ください。

2.2 社会保険料が天引きされない人とは

介護保険料・国民健康保険・後期高齢者医療制度などの保険料には、税金のように「非課税」という概念がありません。どれだけ所得が少なくても、原則として支払い義務がある点に注意しましょう。

ただし、以下の場合は年金から天引きされずに普通徴収となることがあります。

  • 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
  • 年度途中で保険料が減額・増額になった人
  • 年度途中で資格取得した
  • 年金の受給開始年度
  • 介護保険料と健康保険料の合計額が、年金額の2分の1を超えている

また、国民健康保険の場合は上記に加えて少し特殊な条件もあります。

  • 世帯主が国民健康保険に加入していない
  • 世帯の国保加入者に65歳未満の人がいる
  • 世帯主の介護保険料が特別徴収(年金天引き)されていない

国民健康保険は、世帯単位で加入するため、世帯主が会社の保険に加入し、家族が国民健康保険に加入しているというケースでは擬制世帯主となります。

世帯の国保加入者に65歳未満の人がいる場合も、年金天引きの対象とならないでしょう。

また自治体によっては、年金天引き(特別徴収)から普通徴収に変更できるところもあります。

天引きの条件も自治体によって異なるケースがあるため、詳しくはお住まいの自治体でご確認ください。

3. 次回は8月15日が年金支給日!2023年度の水準はどれくらいか

年金は基本的に偶数月の支払いとなるため、次回は8月15日に予定されています。2023年度の年金水準はどれくらいなのでしょうか。

3.1 国民年金

国民年金(老齢基礎年金)の満額は、67歳以下の方で月額6万6250円、68歳以上の方で月額6万6050円です。

3.2 厚生年金

厚生労働省の資料では、厚生年金の金額は「夫婦2人分の標準的な年金額は月額22万4482円」とされています。

しかし、厚生年金の受給額には満額という概念がなく、個人差が大きいものです。月額22万4482円の根拠となる注釈を見てみましょう。

平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

かなり限定的なケースであることがわかります。実際には個人差があることに注意しましょう。