帝国データバンクは、2023年6月30日に「食品主要195社」価格改定動向調査を実施し公表しました。
7月は3566品目の値上げが予定されており、パンが一斉に値上げする見通しです。
しかし、生活が圧迫される状況に陥る原因は、支出の高騰だけではありません。
手取りが増えず、社会保険料の負担が増えている点も要因に考えられます。
今回は、平均年収と社会保険料について解説します。
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平均年収の推移
国税庁が調査している「民間給与実態統計調査」によると、2021年の平均給与は443万円でした。
ピーク時だった1997年の467万円から約20万円少ない状況で、手取り収入も減少していると考えられるでしょう。
そのため、生活に回せる費用自体が少ない状況だといえます。
さらに生活を圧迫しているのが「社会保険料の負担増」です。社会保険料の負担について、推移を詳しく見ていきましょう。
負担が増す社会保険料
財務省が公表している「国民負担率」を見ると、2023年の社会保険料の負担率は18.7%になる見通しです。
1997年の負担率が12.8%なので、約6ポイント増加しています。
つまり、より少なくなってしまっている収入から、社会保険料の負担が重くなっているといえるでしょう。
実際に2023年に入って負担が増した「健康保険・介護保険」「雇用保険」を例に確認してみましょう。
●健康保険・介護保険料
健康保険と介護保険の料率は、2023年3月から改定となりました。
健康保険は、各都道府県によって料率が異なります。今回の改定では、13都府県で料率が引き上げられました。
一方で、介護保険料率は1.64%から1.82%に一律で引き上げられています。
●雇用保険料
雇用保険料も2023年4月から【図表1】のとおり料率が改定されました。
それぞれの業種で労働者負担が0.1%増加しています。
仮に、収入が50万円で一般の事業に該当する場合、2023年3月までの負担額は2500円でした。
2023年4月からの雇用保険料は3000円となり、500円の負担増となります。
社会保険料の負担増による「年収の壁」も撤廃へ
社会保険料の負担は、サラリーマンだけでなく扶養に入るパートタイマーにも徐々に適用されていく見通しです。
現行制度では、勤務先の従業員が101人以上の場合で【図表2】の要件に該当した場合は、パートタイマーでも社会保険料の負担が必要です。
社会保険料の負担が増えると、世帯の手取り収入が少なくなる「年収の壁」問題が生じるため、扶養から外れないように仕事をセーブする方も多いです。
こうした実態を受け、政府は「年収の壁」を超えて社会保険料の負担が発生しても、手取りが減らないよう調整した企業に補助金を支払う方向で検討を始める見通しです。
しかし、今回検討されている助成案は、時限的な措置として最大で3年を予定しています。
そのため、いずれは助成なしで社会保険料の負担が必要になるでしょう。
社会保険料の負担がどう推移するか今後も注目
現状では、平均年収と社会保険料の負担の推移は反比例しているといえるでしょう。
1997年のピークから約20万円減少している平均年収に対して、社会保険料の負担は増えています。
2023年の国民負担率を見ると、収入から控除される税金や社会保険料の割合は、46.8%になる見通しです。
社会保険料の負担が増え続けると、収入が増えないのに手取りが減らされてしまい、生活が圧迫される人もいるでしょう。
今後の負担率がどう変わるか、引き続き注目が集まります。
参考資料
- 帝国データバンク「食品主要195社価格改定動向調査」
- 国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
- 財務省「令和5年度の国民負担率を公表します」
- 厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」
- 全国健康保険協会「令和5年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
- 全国健康保険協会「令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
川辺 拓也