新NISA「つみたて投資枠」で時間と資産を分散しながらリスクも分散
【図表2】~【図表4】でご確認いただいたとおり、今回は、新NISAのつみたて投資枠を利用して3%で25年間運用できた場合のシミュレーションを積立額別に行いました。
株式や投資信託などの運用商品は、ご認識とおりあらかじめ利益が確定されているものではありません。
投資商品の価格は日々変動しているので、ある時には元本が割れていることもあります。
しかし、積立投資で「毎月」と時間を分散することで、購入価格が高い時も低い時も出てくるため、総合的な購入価格を平準化する効果を得られます。
また、より安定性を重視するなら、投資対象を分散、またはあらかじめ分散されたバランスファンドに投資するのも良いでしょう。
ご参考までに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」では、「国内株式」・「外国株式」・「国内債券」・「海外債券」・「4資産分散」の2006年~2022年のリターンの推移を比較しています。
たとえば、2006年にリターン1位だった外国株式は、2008年には▲53%で5位でした。しかし翌年2009年には、また外国株式がリターン1位に。
このように、1年単位で見た時に、収益率が最も高い資産は異なります。
しかし、4つの資産に分散したバランスファンドでは、17年間のうち10年間、収益率が3位です。2位や4位の年はありますが、1位や5位はありませんでした。
リスクもリターンもバランスがとれていることになります。
どのような資産に投資するかは、ご自身がどの程度のリスクを許容できるか?そしてどの程度のリターンを期待するか?がポイントとなりますので、必ずしもバランスファンドが正解とはいえません。
リスク分散のひとつの考え方としてご参考にしていただければと思います。
新NISA「つみたて投資枠」でお金に働いてもらう
そもそも元本変動商品に対して抵抗がある方にとっては、利益が非課税になるとはいえNISAが有益な制度とは感じないかもしれません。
とはいえ、0.001%程度の超低金利の預貯金で、はたして”安心”といえるのでしょうか。
通帳の残高は減らないかもしれませんが、インフレが進めばその残高の価値は、3%、4%と目減りしていきます。
物価上昇を肌で感じているいま、お金に働いてもらう「投資」か、お金を寝かせる「預貯金」か、真剣に考えたいものですね。
参考資料
- 金融庁「つみたてNISA対象商品届出一覧(対象資産別)」
- 金融庁「新しいNISA」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」
和田 直子