3. 厚生年金・国民年金の受給額をアップするための3つの方法
前章で厚生年金の平均受給額が「14万3965円」、国民年金の平均受給額が「5万6368円」であることがわかりました。
公益財団法人 生命保険文化センターの発表した調査では、夫婦で老後生活を送ることを想定したうえで必要と考える最低日常生活費は「月額で平均23万2000円」です。
厚生年金であっても、年金受給だけでは生活が厳しいと考えられえます。
上記のことから、老後に向けた資金準備が大切ですが、年金の受給額をアップするための方法も知っておくことで、老後生活にゆとりが生まれるかもしれません。
老後生活をより良くするために知っておきたい、「厚生年金・国民年金」アップ術は下記3つです。
- 年金を繰下げ受給する
- 厚生年金の保険料を長く払い続ける
- 国民年金の納付月数を確認する
老後破綻をしないために、上記3つは必ず覚えておき、実行できるものからやっておきましょう。
3.1 年金を繰下げ受給する
厚生年金・国民年金ともに、年金受給の開始時期を繰下げることで受給額をアップさせることができます。
繰下げ受給をすると1ヵ月繰り下げるごとに0.7%増え、最大10年で84%も増やすことができ、その増額率が変わることはありません。
留意点として、年金受給が開始されるまでは無収入となるため、基本的に受給開始まで働き続けることが前提となります。
高齢になると、怪我や病気のリスクも伴うことから、働けなくなるリスクも考慮したうえで繰下げ受給の検討をしておくと良いでしょう。
3.2 厚生年金の保険料を長く払い続ける
厚生年金を長く払い続けることで、年金の受給額をアップさせることができます。
厚生年金の受給額は、加入期間と報酬額によって決まるため、加入期間が長いほど受給額がアップしやすくなります。
そのため、厚生年金の受給額を増額させるためには、厚生年金適用の会社で働き続けて、長期的に厚生年金保険料を納付することが大切です。
なお、厚生年金は70歳まで加入することができるため、「働けるうちは働きたい」と考えている場合は、繰下げ受給と厚生年金の支払い期間の延長でさらに受給額が増額するでしょう。
3.3 国民年金の納付月数を確認する
国民年金は、年金保険料の納付月数によって受給額が変動します。
過去に年金の未納がある場合は、追納を検討して受給額をアップすることが大切です。
「国民年金の未納はない」と思っていても、大学在学中の期間は未納になっていることが多いため、一度年金の未納分はないか確認しておくことが得策です。
4. 老後に向けてできることから準備しよう
本記事では、「老後2000万円問題」における概要と、実際に必要な老後資金のシミュレーション方法について解説していきました。
老後に必要なお金は、世帯のライフスタイルによって大きく異なるため、自身のもらえる年金額や老後の生活費をシミュレーションしたうえで、目安となる老後資金を算出しましょう。
老後資金の準備とともに、年金の受給額をなるべくアップさせることで、よりゆとりのある老後生活を送れるでしょう。
今からでも始められるものもあるため、本記事を参考に老後資金と年金アップ術の準備を進めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」
- 厚生労働省「提出資料」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 公益財団法人「生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
太田 彩子