2. ファーストリテイリングのセグメント別の業績(第3四半期期間)
2.1 ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業(第3四半期期間)
夏物商品「エアリズムインナー」やトレンドの「タックワイドパンツやカーゴパンツ」の販売が好調で、売上高を示す売上収益は前年同期比+8.1%となった。
客単価(1人の客が購入する金額)も前年同期比+8.8%であり、客数の減少(前年同期比▲3.1%)を補っている。
売上総利益率(粗利率)は▲1.7%で、円安による原価負担の増加や在庫適正化のために一部商品の値引き販売を実施したことによる。あわせて、販管費も増加(給与引き上げによる人件費の増加など)して、営業利益の前年同期比マイナスという結果となった。
2.2 ファーストリテイリングの海外ユニクロ事業(第3四半期期間)
売上高を示す売上収益は、とりわけ中国大陸で+40%超となり、大幅に増加した。各段階利益も大幅増益となり、営業利益は前年同期比+89.5%と際立った数値である。
地域別の業績を以下に記す。
- グレーターチャイナ:大幅な増収増益
- 韓国:増収増益
- 東南アジア・インド・豪州地区:大幅な増収、営業利益は増益
- 北米:大幅な増収増益
- 欧州:大幅な増収増益
2.3 ファーストリテイリングのジーユー事業(第3四半期期間)
品数を絞り込み、マストレンド商品の在庫管理を徹底した。また、商品マーケティングを強化することにより、スーパーワイドカーゴパンツ、プルオンパンツなどのヒット商品が生まれ、好調な業績となった。
組織変革の推進、商品開発体制の強化により、トレンドを捉えた完成度の高い商品を生み出す基盤が整ったことも好調の要因である。
費用面においても、経費コントロールを強化し、家賃や物流費を中心に販管費比率を改善した。
3. ファーストリテイリングの株主への配当金
同社は、「2023 年8月期の配当予想の修正に関するお知らせ」も併せて公表した。
株主への期末配当金は、2023年4月13日発表の予想金額より+30円の155円(以下すべて1株あたり金額とする)と決定した。
既に実施された中期配当125円との合計で、通期は計280円の配当となる。
4. ファーストリテイリングの株価
2023年8月期第3四半期連結決算の発表前となる、2023年7月13日の終値は3万5450円であった。好業績の発表に加えて、2023年8月期通期業績予想の増額修正も行ったことから、売りに押されて2023年7月19日の終値は3万4740円となった。
参考資料
- 株式会社ファーストリテイリング 2023年8月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 株式会社ファーストリテイリング 2023年8月期 第3四半期業績および通期見通し
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株式会社ファーストリテイリング 2023年8月期の配当予想の修正に関するお知らせ
石川 貴康