2023年7月4日、厚生労働省より「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」が公開されました。
調査結果からは、高齢者が抱える経済的な課題や生活レベルなどが浮き彫りとなっています。
現役世代の方の中には、実際年金だけで生活できるのか、貯蓄はいくら必要なのかなど気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は直近データを紐解きつつ、年金生活について考えてきます。老後に向けた準備の第一歩としましょう。
1. 厚生年金・国民年金だけで暮らせる高齢者は44%だけ
老後に年金生活になっても、年金収入が多ければ老後資金は必要ありません。
しかし2019年に話題となった「老後2000万円問題」が記憶に新しい方も多いでしょう。実際、年金だけで暮らせている高齢者はどれほどいるのでしょうか。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給する高齢者世帯で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は44.0%です。
つまり年金だけで生活を送っている世帯は、半数に満たない状況なのです。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%:44.0%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満:16.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満:13.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満:13.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満:8.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満:3.6%
56.0%は年金だけで足りず、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填していることがわかったのです。
老後に向けて、年金以外の資産を自分で作る必要があるといえます。
年金以外の資産とは、やはり「2000万円」が目安となるのでしょうか。次は「老後2000万円問題」の真偽について考えてみましょう。