社会人として仕事の経験が長くなると、様々な人と仕事をすることになります。仕事のしやすい相手がいる一方で、仕事のしにくい相手もいるでしょう。もちろん自分との相性もありますが、今回は仕事のしにくい相手について考えてみます。

手戻りが多い仕事相手。あなたはどう感じる?

仕事は一人ではできない。このことは多くの人が認めることでしょう。ただ、仕事のやり取りをする上で、しっかりとコミュニケーションをしているはずなのに、一向に仕事が進んでいかないばかりか、やり直しになる、いわゆる「手戻り」を経験したことがある人も多いのではないでしょうか。

あるいは確認作業ばかりが続き「いちいちそんなこと確認してこないで」と心の中で呟いていても、表面では「確認しておきますね。ありがとうございます、お疲れ様です」と答えてしまう。そんなシチュエーションもあるかもしれません。

相手は自分の仕事に自信がないのか、それとも単に「やりとり」というコミュニケーションを求めているのか。真実は本人に聞いてみないとわかりませんが、本来ならそんなことを聞いている暇もないというのが実際でしょう。

手戻りが多い社外の相手 vs. 社内の相手

この「手戻り」という事態は、相手が社内の人か、それとも社外の人かという違いでも変わってくるかもしれません。

たとえば手戻りの多い相手が社外の人であった場合はどうでしょうか。こちらが仕事の発注者で相手方が仕事の受託者というケースを考えてみましょう。

もし相手の仕事の効率が悪いということであれば、仕事の発注者は次回から仕事を依頼しないという選択が可能です。別に仕事を受けてくれる人がいるのであれば、これまでの取引実績はないけれども一度依頼してみようか、などと思うのではないでしょうか。

一方、こちらが仕事の受託者で相手方が仕事の発注者という場合はどうでしょうか。ビジネスと割り切って、対価の範囲内で手戻りの多い仕事もこなすというケースが多いかと思います。ただ、他に受注している仕事が多いといったときには、もしかしたら次回以降は仕事を断ってしまうことがあるかもしれません。

発注者でも受託者でも、相手方が社外の場合には、比較的短期間のうちにそれぞれが別の選択肢を選んだ結果「仕事を継続しない」という状況になりかねないということです。「替えが効く」ということがそうした変化が起きるきっかけとなります。

手戻りが多い相手。実は社内の方が厄介!?

では、手戻りの多い相手が社内にいる場合はどうでしょうか。

もし手戻りの多い相手が上司だった場合は、自分が部署を異動をしたり、会社をやめない限りはその環境から抜け出すことができないこともありえます。

また、同じ社内の異なる部署の人とのやり取りで手戻りが多い場合はどうでしょうか。同じ社内であれば、社外の人に比べればドラスティックに関係を希薄化させるということはないでしょう。ただ、その分仕事が思うように運ばないイライラは募りやすくなる可能性があります。

普段から「そんなことこっちに話を戻さずに、自分で処理をして進めてよ」と心の中で叫んでいる人も多いはずです。同じ社内だからこそ、よりストレスを溜めやすい傾向があるのだとすれば、なんとも皮肉な話です。

経営者が「アウトソーシングだ!」と叫ぶ本当の理由を考える

では、もしこうした状況が発生しているとその企業の経営者が知ったとすれば、どう行動するのでしょうか。

最近では「オープン・イノベーション」や「アウトソーシング」という言葉を耳にすることも多くなってきました。実はこうした言葉、それ自体はポジティブな印象を受けますが、現実に照らし合わせて考えてみてください。もしこのキーワードを口にする経営者がいたならば、その企業の社員にとっては非常に残酷だともとれないでしょうか。

というのも、オープン・イノベーションとは、裏を返せば「社内に良いアイデアがないから外からもってこい」という意味を含みますし「アウトソーシング」とは社内の業務コストが外部と比較して高いから(つまり効率が悪い)、外部リソースを使う、ということにもなるからです。

先ほどのように社内における仕事の効率が悪いという場合、社外とのやり取りのように短期的に置き換えられてしまうということはないかもしれませんが、経営者の考え方によっては、関係する人員や部署そのものを取っ払ってしまおうという行動にも出てしまいかねません。

まとめにかえて

「手戻り」で気を付けたいのは、実は社外より社内の相手かもしれません。あまりにも手戻りが多く仕事がしにくい、あるいは仕事が進まないというとき、その原因が相手にあると思っていても、全体の業務効率に影響が出てくると、自分の仕事までなくなってしまった、ということになりかねないのです。

今や、機械が人間の仕事を奪う領域も出てきています。機械は文句を言わないし、設備投資しても減価償却して費用として計上できる、などと考える経営者が出てきても不思議はありません。手戻りのないやりとり、効率を意識していきたいものです。

LIMO編集部