「パワーカップル」という言葉をご存じでしょうか。

明確な定義はありませんが、夫婦ともに年収700万円以上を稼ぐ「世帯年収1400万円以上の夫婦」を指すようです。

どちらか一方が1400万円を稼ぐのではなく、夫も妻も年収700万円以上の高所得。「悠々自適」「老後も安心」といったイメージを浮かべるかもしれません。

しかし、そのイメージは正しいのでしょうか。

今回は、世帯年収1400万円以上の「パワーカップル」の老後事情(年金事情)について見ていきます。

1.「パワーカップル」の割合は?

内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」によると、共働き世帯数は増加傾向にあるようです。

出所: 内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」

2003年には専業主婦の世帯が849万世帯でしたが、2020年時点では462万世帯と17年間で約2分の1まで減少しています。

共働き世帯が増加したことになるのですが、「妻がパート(週35時間未満労働)」の共働き世帯は増加傾向に、「妻がフルタイム(週35時間以上労働)」の共働き世帯はほぼ横ばいという結果になっています。

次に、妻の年収階級別に見た夫の年収階級分布をニッセイ基礎研究所の資料で見ていきましょう。

出所:ニッセイ基礎研究所「パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労」

上の図を見てみると、妻の年収が高いほど、夫の年収が高い傾向にあることがわかります。

「妻の年収700万円~1000万円」の世帯の夫の年収は、同じく「年収700万円~1000万円」が最多です。「妻の年収1500万円以上」の世帯の夫の年収は、同じく「年収1500万円以上」が最多です。

出所:「ニッセイ基礎研究所「パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労」

では、パワーカップルがどれくらいいるのか見てみましょう。

夫婦ともに年収700万円以上の世帯は、総世帯5179万世帯に対して34万世帯「0.62%」、夫婦共働き世帯の1621万世帯に占めるパワーカップルの割合は「2.1%」です。

夫婦共働き世帯は増加傾向にありますが、現状は週35時間以内勤務のパート形態が多く、パワーカップルはごくわずかであることが見てとれました。