低迷が続く結婚式場の売上高

日本では、暑くも寒くもなく過ごしやすい気候の5月、6月と10月、11月は、結婚式が集中するピークシーズンです。実際、この時期になると、結婚式帰りの人を見かける機会が少なくありません。ただし、結婚式という“おめでたい話題”にもかかわらず、残念なことに業界自体はそれほど盛り上がっていません。

経済産業省が10月11日に発表した「特定サービス産業動態統計調査」の8月速報によると、「結婚式業」の売上高は前年同期比▲7.9%減と、6か月連続して減少が続いています。また、取り扱い件数も同▲9.5%減と、8か月連続で減少しています。唯一の明るい話題は、平均単価(255万円)だけが同+1.8%増と上昇していたことです。

結婚式売上高推移(前年同期比、%)

出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」

アベノミクス相場に乗れなかったブライダル関連銘柄の株価

ブライダル関連銘柄の株価パフォーマンスも、アベノミクス相場が始まった2012年後半から5年間(2012年10月~2017年10月)で見ると今ひとつ冴えません。

TOPIXはこの5年間で約2.3倍に上昇しましたが、代表的なブランダル関連銘柄である藤田観光(9722)は+36%上昇、テイクアンドギヴ・ニーズ(4331)は+32%上昇、ツカダ・グローバルホールディング(2418)は+35%上昇、ワタベウェディング(4696)は+32%上昇と、いずれも上昇はしているものの、TOPIXの上昇率を大きく下回っています。

結婚しない最大の理由は「お金がないこと」

結婚式という華やかなイベントを扱う業界ですが、このような業界データや株価パフォーマンスから見ると、実際のビジネスは順風満帆とは言えないことがうかがえます。

では、なぜ業界は盛り上がりを欠いているのでしょうか。まず考えられるのは少子化による婚姻件数の減少ですが、それ以外に、結婚式を挙げず婚姻届だけをを出す「ナシ婚」で済ます人や、「事実婚」という籍を入れない結婚形態が増えていることも要因として考えられます。

さらに、経済的な理由も無視できないでしょう。というのは、2015年に厚生省の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所が行った「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」において、「結婚しない理由」として「結婚資金」の割合が最も大きかったためです。

この調査では、結婚意思のある未婚者(18~34歳未満)に、1年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるかをたずねたところ、男女とも「結婚資金」を挙げた人が最も多く(男性43.3%、女性41.9%)、2010年の前回調査とほぼ同水準の結果となっていました。

ちなみに、この調査報告書では「結婚資金」の定義が明らかにされていませんが、設問は「1年以内」とされているため、おそらく結婚式にかかわる費用が大半を占めると推察されます。

まとめ

「結婚が増えるためには、お金だ、景気次第だ」と結論づけるのは、やや早計過ぎるかもしれません。「ナシ婚」を選ぶ人が増えていることを考慮すると、日本人の全てが結婚に対してそこまで打算的に考えているとも思えないからです。

とはいえ、景気次第というのも無視できない理由のように思われます。足元では日経平均が大きく回復していますが、生活者視点からは景気回復の実感を持てないという「アベノミクスの失敗」を指摘する声がテレビや新聞の街頭インタビューでしばしば聞かれ、これは上記調査の結婚しない理由とも整合的であるためです。

つまり、平均約255万円とされる挙式費用が結婚の大きな障害となっているのが日本の現実ということであり、今も日本の景気は本格的には回復していないということにもなります。

ブライダル業界としては「結婚資金がなくても結婚する人が増える」よりは「景気が本格的に回復して結婚式を挙げる人が増える」ほうが望ましいでしょうが、いずれにしても結婚の動向については日本社会の将来にかかわることでもあるので、今後も注意深く見守りたいと思います。

LIMO編集部