2023年春頃に一つのニュースが報道されました。それは、日本の出生率低下のニュース。

現在の日本は、年々、出生率の低下が進み、人口も減少傾向にあります。

2023年3月20日に、総務省が発表した「人口推計-2023年(令和5年)3月報-」によると、2022年10月1日時点の日本の総人口(確定値)は1億2494万7000人。12年連続で減少という結果になりました。

出所:総務省統計局「「人口推計-2023年(令和5年)3月報-」」

上記のグラフを見ていただくと、2022年から大幅に人口が減少していることがわかります。

では次に、年齢別ではどのように推移しているのかを、厚生労働省「我が国の人口について」をもとに見ていきましょう。

出所:厚生労働省「我が国の人口について」

年金を支える20歳~64歳の人口は年々、減少傾向にあり、2040年には50%になると言われています。年金受給開始年齢となる65歳以上の人口は増加すると予測されており、若い世代の方が今と同じくらいの年金を受給することは困難とも言われています。

いまのシニア世代の方も、年金だけで十分とは言えない状況です。そこからさらに年金額が減っていくことを想像すると、老後への不安は高まる一方ですね。

老後は年金だけに頼ることができないとなれば、貯蓄の取り崩しや労働によって生活費を捻出していく必要があります。

これから老後へ向けての準備を進めていく上で、年金生活者の暮らしぶりは非常に参考になると思います。本記事では、65歳以上のリタイア世帯のお金事情をご紹介していきますので、老後について一緒に考えていきましょう。

1.【老齢年金世代】老後は何歳まで働き続ける?

総務省の資料から、シニア世代の就業率をみていきましょう。

2011年(平成23年)から2021年(令和3年)シニア世代の就業率を比較すると、すべての世代で就業率が上昇していることがわかります。

出所:総務省統計局「2.高齢者の就業」

特に、60歳~64歳、65歳~69歳の就業率が大きく上昇しています。

これまでは、ほとんどの企業が定年を60歳としていましたが、2013年に政府が「高年齢者雇用安定法」を改定し、65歳までの雇用確保が義務づけられることとなりました。経過措置期間を経て、2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務となります。

くわえて、65歳から70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となっています。高齢者の就業環境が整えば、ますます就業率は上昇していくでしょう。

次に、65歳以降世帯の貯蓄事情について見ていきます。