児童手当の拡充3つ。18歳まで支給などポイントを確認
ではここからは、児童手当の拡充について見ていきましょう。今回の拡充のポイントは次の3つです。
児童手当の拡充案
- 支給対象年齢を18歳まで延長
- 所得制限を撤廃し一律給付にする
- 第3子以降は月3万円給付に増額
現在、児童手当の支給対象となる子どもは中学校卒業までの子どもですが、拡充により3年延長し18歳(高校卒業相当)までの子どもとなる予定です。
また、現在は世帯の収入が一定金額以上の場合、5000円の支給または支給なしになるといった所得制限が設けられていますが、拡充案では制限を撤廃し、一律給付になります。
さらに、現在第3子以降は月1万5000円が支給されていますが、月3万円に増額されます。
これらの拡充案を見る限り、子育て世帯にとっては経済的にメリットがあるといえるでしょう。しかし、この施策の一方で「扶養控除の見直し」も検討されており、児童手当が拡充されても必ずしも家計にとってプラスになるとは限らないという状況になっているのです。
扶養控除の見直しも検討されている
現在、16歳から19歳未満の子どもを養育している親などは、「扶養控除」として年末調整や確定申告の際に38万円を控除することができます。しかし、児童手当が18歳まで支給されるかわりにこの扶養控除を廃止することが検討されているのです。
具体的に計算してみると、高校生相当の子どもに対し支給される児童手当は、1年間で12万円です(1万円×12ヵ月)。しかし、38万円の扶養控除が利用できなくなるため、その分課税所得を減らすことができず所得税や住民税をこれまでも多く支払うことになります。
つまり、高校生の子どもに対し児童手当が支給されても、その分税金を多く支払うことになるため、単純に月1万円、年間で12万円がもらえるという話ではなくなってしまうのです。
とはいえ、現在16歳未満の子どもには扶養控除が適用されていないため、「高校生も同じ条件になるだけ」という見方もあります。さらに、「手当」と「控除」でダブルの補助をするのは不公平、と捉えられる可能性があることも理由のひとつとされています。
児童手当まとめ
児童手当の拡充は、支給対象年齢が18歳までになることや所得制限が撤廃されること、第3子以降の子どもが増額になることといったように家計にメリットのある内容となっています。
しかし、扶養控除の見直しも行われる予定で38万円の扶養控除の適用ができなくなると、その分税金を多く支払わなければならなくなります。
手当金や扶養控除などは家計に影響のあることなので、今後の政府の検討に注目していきたいところです。
参考資料
木内 菜穂子