私たちが快適に生活するうえで絶対に欠かせないのが電力やガスです。公益事業ともいわれるこれらの業界は、地域ごとに各社の寡占状態にあり競争がほとんどないため、安定していて高収入というイメージがあります。今回は、電力ガス関連企業の直近の決算資料などをもとに、企業ごとの年収を比較しました。

平均年齢41.9歳、平均年収684万円

今回ピックアップしたのは、日本の電力ガスのうち売上高の大きい25社。非上場で決算資料が非公開の企業については、対象外としています。25社の単純平均による平均年齢は41.9歳で、平均年収は684万円となっています。

また、各社の従業員数で加重平均した平均年齢は43歳で、平均年収は720万円です。加重平均での平均年収が高めに出ているのは、東京電力ホールディングス、中部電力などの寄与によるものです。

一番高いのは東京電力ホールディングスの822万円、一方で500万円台も

下図は、投信1編集部データ分析室が決算資料をもとに作成した各企業の平均年齢と平均年収の分布です。

東京電力ホールディングス

まず、平均年間給与が一番高かったのは、東京電力ホールディングスです。東京電力ホールディングスの平均年齢は44.7歳で平均年収は822万円となっています。

同社は、2016年に東京電力がホールディングカンパニー制に移行した際、社名変更して東京電力を承継した持ち株会社です。傘下に燃料・火力発電事業会社の東京電力フュエル&パワー、一般送配電事業会社の東京電力パワーグリッド、小売電気事業会社の東京電力エナジーパートナーがあります。

首都圏1都7県と静岡県の一部に電力を供給しており、電力会社としては国内最大規模です。東日本大震災に伴って発生した福島第一原発事故による賠償や廃炉、除染などのさまざまな問題を抱え、現在経営再建に取り組んでいます。

沖縄電力

沖縄電力は、平均年齢は38.8歳で平均年収は750万円と、業界平均に比べると平均年齢は3.1歳若く、平均年収は66万円高くなっています。

同社は、沖縄本島を含む38の有人の島に電力供給をしており、他社との送電線の連系のない独立した電力系統で事業展開しています。また、原子力・水力を保有しておらず、化石燃料による火力発電の電源構成となっています。なお、同社の株式のうち4.97%を沖縄県が保有しています。

日本瓦斯

日本瓦斯は、平均年齢36.1歳で平均年収は616万円と、業界平均に比べると平均年収も68万円低くなっているものの、平均年齢は5.8歳若いという特徴があります。

同社は東京都に本社を置き、1955年に設立されたLPガス、都市ガスの販売を主力とする会社です。比較的新しい会社ですが、1964年の東京オリンピックの聖火用ガス供給という実績もあります。

経済産業省・東京証券取引所の「攻めのIT経営銘柄」に2年連続で選ばれたり、米国金融専門誌「Institutional Investor 誌」のベストCEO、ベストIRに選ばれるなど、経営に関して注目されている会社です。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。電力とガスでは、電力の方が平均年収は高い傾向にありますが、最近の電力ガス自由化で電力事業に参入するガス会社も出てきています。重要なライフラインである電力とガスは、これまで寡占市場とも言われ、ほとんど新規参入もなく激しい競争もありませんでしたが、自由化によって市場が変化することも考えられます。今後も注目していきたい業界です。

以下、今回ピックアップした企業のデータとなります。ご参考にしてみてください。

出所:SPEEDA及び有価証券報告書;をもとに投信1編集部データ分析室作成

LIMO編集部