6月といえば、夏のボーナス。賞与明細をみて「ボーナスからもこんなに引かれるの?」となんともいえない気持ちになったことはありませんか。

給与だけでなくボーナスからも税金や保険料が引かれるとわかっていても、額面と手取額の差をみて、ため息がでてしまうという方は少なくないのでは。

この天引き。現役を引退し、年金生活が始まっても続くのはご存じでしょうか。

年金不安がささやかれる近年、いまのシニア世代の人たちは年金をどれくらい受け取り、またそこから何が天引きされるのか。一緒に見ていきましょう。

1. 日本の年金制度について

日本の公的年金は、1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金から成り立つ「2階建て」の制度です。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

国民年金は、原則、日本に住む20歳以上60歳未満の方が加入します。会社員や公務員などは、国民年金に上乗せして厚生年金にも加入します。

学生や自営業者などが加入する国民年金の保険料は、収入の大小に関係なく一律で、2023年度はひと月1万6520円です。一方、会社員や公務員が加入する厚生年金の保険料は、報酬によって決定します。上限はありますが、報酬が高い人ほど保険料が高くなる仕組みです。

老後に受け取る老齢年金は、この保険料や加入期間により異なります。保険料が皆一律となる国民年金は、加入対象期間となる40年間(480カ月)、全ての保険料を納めた場合に満額を受給することができます。一方、厚生年金は、国民年金や厚生年金などの加入期間が合計10年以上の場合に、国民年金に上乗せする形で支給。年金額は納めた保険料額によって計算されるため個人でバラつきが見られます。

2. 【老齢年金】ねんきん定期便には載らない「年金から天引きされるお金」

現役世代の人たちは、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」でこれまでの加入実績や保険料納付額などを確認することができます。この「ねんきん定期便」に記載されている受給見込額はあくまでも「額面」で、税金や保険料が控除される前の金額ですのでご留意ください。

では、公的年金から天引きされる税金や保険料にはどんなものが含まれるのか、確認していきましょう。

2.1 介護保険料

40歳からは健康保険料に上乗せして介護保険料を納めていますが、65歳以降は「介護保険料」を単独で支払うことになります。

年金年額が18万円以上の場合、年金から「介護保険料」が天引きされる点をおさえておきましょう。

2.2 健康保険料

自営業者が加入する国民健康保険料(税)や、75歳になると全ての人が加入する後期高齢者医療保険料なども年金から天引きされます。

介護保険料が天引きされていることが条件となります。

2.3 個人住民税

前年度の所得に対してかかる住民税が、年金から天引きされます。

年金は、基礎控除43万円と公的年金等控除110万円(65歳未満は60万円)を控除することができるため、公的年金が153万円以下(65歳未満は103万円以下)の場合には、住民税がかかりません。このほか、社会保険料控除や、配偶者控除などが適用される場合には、153万円を超えても住民税がかからないケースがあります。

2.4 所得税

年金に所得税が課税される場合も、年金から天引きされます。

年金は、基礎控除48万円と公的年金等控除110万円(65歳未満は60万円)を控除することができるため、公的年金が158万円以下(65歳未満は108万円以下)の場合には、住民税がかかりません。このほか、社会保険料控除や、配偶者控除などが適用される場合には、158万円を超えても所得税がかからないケースがあります。