3. 【老齢年金】国民年金・厚生年金の平均受給額は?

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、無職の夫婦世帯の場合、社会保障給付(年金)22万418円に対し、直接税1万2854円・社会保険料1万8945円がかかっています。また無職の単身世帯の場合では、社会保障給付12万1496円に対し、直接税6660円と社会保険料5625円が天引きされています。

次に、厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、今のシニア世代の平均年金月額や受給額分布を見ていきましょう。

3.1 国民年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万6368円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4346円

受給額ごとの人数分布も確認しましょう。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【国民年金の受給額(1万円ごとの人数分布)】

  • 1万円未満:7万27人
  • 1万円以上~2万円未満:28万4152人
  • 2万円以上~3万円未満:90万3006人
  • 3万円以上~4万円未満:274万9550人
  • 4万円以上~5万円未満:463万6048人
  • 5万円以上~6万円未満:791万730人
  • 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
  • 7万円以上~:187万2466人

男女ともに、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満となっていますね。厚生年金に加入したことがない方は国民年金だけの受給になります。老後に国民年金による収入のみで生活するとなると、厳しいといえるでしょう。

3.2 厚生年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:14万3965円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4686円

※国民年金の金額を含む

受給額ごとの人数分布も確認しましょう。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【厚生年金の受給額(1万円ごとの人数分布)】

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

厚生年金の平均受給月額は14万3965円ですが、ボリュームゾーンは「10万円以上~11万円未満」、次に「9万円以上~10万円未満」、「17万円以上~18万円未満」とバラつきがみられます。これは厚生年金が現役時代の収入や加入期間によって受給額が変動するからです。

男女差においても6万円と大きな差がでていますね。いまのシニア世代の方が現役の頃は、結婚や出産を機に家庭に入ったり、短時間のパート勤務などに切り替える方が女性が多かったことから、このような男女差が生じたものと考えられます。

近年は労働環境や育児制度、介護制度などの整備が進んでいるため、徐々に男女差は埋まってくると予想されますが、個人差は今後も続いていくでしょう。

4. 公的年金だけに頼らない資産形成を

本記事では、「年金の額面と手取りの違い」と「年金の平均受給額」を見てきました。国が準備してくれている二階建て年金で不安を感じるならば、三階建ての老後対策を自分で構築するという案がでてきます。

「三階部分」となると「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「個人年金保険」などが代表的な方法として挙げられます。どちらも税金面でメリットを享受できるといった共通点がありますが、個人年金保険は各社さまざまな付加価値をつけた商品をだしているので比較しながらじっくり検討するのがよいでしょう。

三階部分を作り上げる方法は、ほかにもいろいろあります。まずは自分にどのような方法が合っているのか考えるところから始めてみませんか。

参考資料

足立 祐一