夏のバカンス前の空気が漂うこの季節、イタリアでは屋外でピッツァを楽しむ姿をよく目にするようになります。

イタリアにおけるピッツァの歴史はとても古く、地方ごとに異なる特徴を持っています。

特に有名なナポリとローマのピッツァにはどんな違いがあるのでしょうか。ピッツァの簡単な歴史とともに、その特徴を解説します。

【イタリア】ピッツァの歴史は10世紀より!

mnimage/shutterstock.com

ピッツァという軽やかな響きを持つイタリア語が登場するのは、10世紀も終わりごろのことです。イタリア語の誕生の時期ともかぶるピッツァ、一体どんな食べ物だったのでしょうか。

古文書に残るピッツァ

「ピッツァ」というとてもイタリア語らしい響きを持つ言葉は、997年の古文書に残されています。

南イタリアのガエタという町に残るこの古文書には、農民たちが領主への税金のような形で「12個のピッツァ」を納めていたことが記されているのです。

つまりイタリア語の誕生とほぼ時期を同じくして生まれたのが、イタリアが誇る食文化のひとつ「ピッツァ」であったわけです。

【イタリア】ユネスコの無形遺産!ナポリのピッツァとは?

画像出所:筆者撮影

ピッツァはナポリが発祥とされていますが、一体どんな発展遂げて現在の姿になったのでしょうか。ナポリのピッツァの歴史や特徴を見てみましょう。

トマトとの出会い

ピッツァといえばトマトソースの赤を思い浮かべる方も多いでしょう。しかしトマトは南米が原産です。

コロンブスのアメリカ大陸発見によってトマトがヨーロッパに渡来し、さらに日常的な食べ物として普及するのには17世紀を待たなくてはなりませんでした。

18世紀の半ば、ようやくピッツァとトマトソースが融合し、庶民だけではなく貴族階級にもそのおいしさがもてはやされるようになりました。

特に1870年、ときのイタリア王妃マルゲリータに捧げられたピッツァが脚光を浴びます。

トマトソース、バジリコ、モッツァレラチーズでイタリアの国旗色を模したもので、ピッツァ・マルゲリータという名で知られるようになりました。王妃自身も激賞したと言われ、イタリアのピッツァの顔として絶大な人気を誇ります。

ナポリ・ピッツァ、世界遺産へ!

ナポリのピッツァの特徴は、もちもちとした食感にあります。この伝統的なピッツァを作るナポリの職人技は、2017年にユネスコの無形文化遺産に認定されました。