先週の世界株式市場の動き
主要国が高値圏で推移した中で、日本株の好調が顕著となった1週間
先週(2017年9月18日~9月22日)の世界の株式市場は、高値圏で推移した市場が多かったようですが、その中にあって、日本株の好調がひと際目立ったようです。
- 日経平均株価(日本) +1.9%上昇
- TOPIX(日本) +1.6%上昇
- NYダウ(米国) +0.4%上昇
- Nasdaq指数(米国) ▲0.3%下落
- FTSE100(英国) +1.3%上昇
- DAX(ドイツ) +0.6%上昇
- 香港ハンセン指数(香港) +0.3%上昇
- 上海総合指数(中国) ▲0.0%下落
- ボベスパ指数(ブラジル) ▲0.5%上昇
注:いずれも先週末(9月22日)と先々週末(9月15日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。
主要国は高値圏で推移も、FOMCの結果を受けて新興国は小幅下落
先週は、FOMCや日銀金融政策決定会合の開催に加え、国連総会における各国首脳の演説など大きなイベントがありました。しかし、最も注目されたFOMCは事前想定通りの結果だったこと等から、主要国の株価を大きく変動させるような局面は見られませんでした。多くの主要国では、先々週からの流れを崩すことなく、高値圏で推移したようです。
しかし、FOMC後にイエレン議長が膨れ上がったバランスシートを縮小していくことを明言したため、今後は徐々に影響が出て来ることが予想されます。特に、新興国市場からの投資資金引き上げが懸念されるため、先週は上昇が続いてきたブラジル株式市場も下落して引けました。
“選挙相場”の始まりで日本株は好調持続、やや過熱感も
そのような中、主要国で好調が目立ったのが日本株です。その最大の要因は、衆議院の解散総選挙が行われる可能性が急速に高まったことで、いわゆる“選挙相場”が始まったためです。今振り返ると、こうした解散総選挙を睨んだ株価の動きは、それ以前から起きていた兆候もあります。
ただ、日経平均株価の終値はこの2週間で最大約+1,070円上昇するなど、やや過熱感がありますから、今後の動向が注目されましょう。
国連総会でトランプ大統領が北朝鮮を罵倒
また、国連総会における各国首脳のスピーチでは、米国トランプ大統領が北朝鮮を激しく罵る場面があり、世界中の注目を集めました。北朝鮮もすぐさま反応するなどしており、北朝鮮リスクの消失には時間を要する雰囲気が強まりました。
幸い、先週は世界の株式市場への影響は限定的でしたが、まだまだ予断を許さない状況のようです。
今週の世界株式市場の注目点
日本の衆議院解散が最大の注目点、ドイツ総選挙の影響は限定的か
今週(9月25日~9月29日)は、日本の政治イベントに大きな注目が集まるでしょう。また、米国と北朝鮮の軍事挑発バトルの影響にも注視する必要がありそうです。
今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。
- 9月24日:連邦議会選挙(ドイツ)
- 9月25日:安倍首相の記者会見(日本)
- 9月28日:臨時国会召集(日本)
注:日程は現地時間。現時点で報じられている予定のため、変更になる可能性あり。
28日に衆議院解散の見通し、選挙相場の進行度合いに注視
今週の最大の注目イベントは、日本の衆議院の解散です。既に、28日(木)の臨時国会召集の冒頭で解散されることが既定路線となっています。また、25日(月)には安倍首相が解散に踏み切るにあたっての記者会見を行う情報もあります。解散総選挙に向けて様々な経済対策が打ち出される可能性もあることから、今週も“選挙相場”が加速する局面があるかもしれません。
一方で、“選挙相場に乗り遅れるな!”という類の進軍ラッパには注意が必要でしょう。当然ながら、選挙相場には一定の寿命があり、株価が好材料を早期に織り込むこともありますので、投資のタイミングが重要になると思われます。
ドイツ総選挙の影響が株式市場に与える影響は軽微か?
海外に目を向けると、24日(日)にはドイツで総選挙が実施されます。当初、このドイツ総選挙は、欧州地域が抱える難民問題や極右政党の台頭等に関して、非常に大きな注目イベントでした。
しかし、今春以降は欧州各国の政治情勢が安定したことに加え、北朝鮮問題が大きな懸念事項とされるため、注目度は低下しています。もちろん、選挙結果次第では欧州に対する懸念が再燃することもあり得ますが、現時点では、株式市場に与える影響は非常に小さいと考えていいかもしれません。
北朝鮮リスクには引き続き注意が必要
その北朝鮮リスクですが、北朝鮮が再度の水爆実験を示唆したことから、引き続き注意が必要です。
既に世界の株式市場は北朝鮮の軍事挑発行動に対する“免疫”ができていますが、それを超越するような挑発行動が起きないとも限りません。実際、この週末も、米軍機が北朝鮮付近まで飛行するなど一触即発の事態と言えなくもないからです。
LIMO編集部