6月には金融機関などの口座振込で年金を受け取られている方に対して、「年金振込通知書」が送付されます。年金は、老後の生活の大きな柱となるものなので、手元に届いた際は忘れずに確認したいものです。
「年金振込通知書」と「ねんきん定期便」にはどのような違いがあるのか、疑問に思ったことがある方もいるでしょう。それぞれの書類が送付される対象はだれなのか、どのような内容が記載されているのか、ここで理解しておきましょう。
また、年金の「額面」金額と「手取り」金額も混同しがちなので、あわせて解説していきます。年金振込通知書やねんきん定期便を確認する際の参考にしてください。
1. 6月送付「年金振込通知書」で控除後振込額がわかる。再発行も可能
「年金振込通知書」とは、毎年6月上旬ごろに口座振込で年金を受け取っている方に対し送付されるもので、6月から翌年4月までに振り込まれる年金額が記載されています。
原則として年に一度の送付(6月)ですが、年金額や受取金融機関に変更があったときにはその都度お知らせが届きます。
1.1「年金振込通知書」の内容
年金振込通知書には、どのような内容が書かれているのか確認していきましょう。下図の年金振込通知書の見本をご覧ください。
年金振込通知書には、受け取れる年金額が記載されているほか、介護保険料や後期高齢者医療保険料、国民健康保険料、所得税額等、個人住民税額などの差し引かれる項目も記載されています。
そして最後の行の「控除後振込額」の欄に、社会保険料や税金などを控除した後の実際に振り込まれる金額が記載されます。
なお、振込金融機関は通知書右上の「振込先」の欄に、指定した金融機関の支店名が表示されていますので確認しましょう。
1.2 年金振込通知書は紛失したら再発行できる
年金振込通知書を紛失してしまったなどで手元にない場合は、「ねんきんネット」にアクセスするといつでも内容を確認できます。
通知書自体を再発行したいときは「ねんきんネット」からの手続き、または電話でも申請可能 です。
2.「ねんきん定期便」では年金記録がわかる
「ねんきん定期便」は、年金制度への理解を深めてもらうことなどを目的として送付されるもので、これまで納入してきた年金の記録が記載されています。年金記録の内容に誤りやもれがないかどうかを確認する際などに活用されます。
送付対象となるのは国民年金や厚生年金に加入している方です。毎年誕生月に原則としてはがきで届きますが、35歳・45歳・59歳には封書で届きます。
なお、「ねんきんネット」に登録するとインターネットでいつでも自分の年金記録を確認できるほか、さまざまな条件を設定して将来受け取る年金見込額を試算することも可能です。
3. 年金額の「額面」と「手取り」の違いとは?年金振込通知書の見方
2カ月に一度振り込まれる年金額は「年金振込通知書」に記載されていますが、「額面」金額と実際に入金される「手取り」金額が異なっています。「金額が間違っているのでは?」と疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
実は、年金の支給額からも給与などのように、社会保険料や税金などが控除されるため、実際に入金される手取り金額は額面よりも少なくなります。
ここで、年金振込通知書の見本で確認してみましょう。
「額面」にあたるところは(1)の年金支給額の欄です。
そこから、(2)~(5)の介護保険料、所得税および復興特別所得税、個人住民税額などが差し引かれ、「手取り」として受け取れる金額が(6)の控除後振込額に記載されます。
したがって、実際に口座に振り込まれるのは(6)の控除後振込額となります。
4. 年金振込通知書で6月~翌年4月までの年金額の確認を
年金振込通知書は、年金を受給している方に対して毎年6月に送付されるもので、6月から翌年4月までの年金額が記載されています。
一方、ねんきん定期便は保険料を納付している方に対して年金記録をお知らせするもので、保険料の納付記録などがわかります。
どちらの書類も正しい年金額を受け取るために必要なものなので、手元に届いた際は忘れずに確認しましょう。
また、年金振込通知書に記載されている金額には「額面」と「手取り」がありますが、実際に振り込まれるのは社会保険料や税金などが差し引かれた手取りとなります。
参考資料
木内 菜穂子