多くの地域で梅雨入りとなるこの季節。なんとなく外出もためらわれて、家で過ごす時間が多くなるのではないでしょうか。
おうち時間を有効に使うには、「お金」について情報収集をするのもひとつです。
例えば老後に受け取る年金について。
現役時代に毎月保険料を納めることによって、将来はどれほどの年金が受け取れるのか、あまり知らないという方も多いです。
ここで年金クイズです。
「厚生年金の受給額は都道府県で違う?」
◯か✕か、すぐに答えられないかもしれませんね。
都道府県ごとの年金事情について、くわしく見ていきましょう。
1. 答え:厚生年金の受給額は都道府県で差がある
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、都道府県ごとの受給額を見ることができます。
こちらによると、都道府県によって受給額に差があることがわかりました。つまり、クイズの答えは◯です。
1.1 厚生年金(老齢年金)の平均年金月額が多い都道府県ベスト5
- 神奈川県:16万5321円
- 千葉県:16万17円
- 東京都:15万8661円
- 奈良県:15万7601円
- 埼玉県:15万6319円
1.2 厚生年金(老齢年金)の平均年金月額が少ない都道府県ベスト5
- 青森県:12万2111円
- 秋田県:12万2914円
- 宮崎県:12万3220円
- 沖縄県:12万3755円
- 山形県:12万4517円
1位の神奈川県と47位の青森県では、月額4万円以上の差があります。
年間にして51万円以上となると、その差はより大きく感じますね。
2. 厚生年金の受給額に都道府県で差が出る理由
厚生年金の受給額は都道府県によって差があるとわかりました。
ただし、ここで誤解したくないポイントは「住んでいる都道府県で年金額が変わるわけではない」という点です。
実態として都道府県ごとの差があるにも関わらず、都道府県で年金額が変わるわけでない…と言われてもピンとこないかもしれませんね。
ヒントは、厚生年金の決まり方にあります。
厚生年金の金額は、現役時代の賃金や加入期間で決まります。そして賃金の水準は都道府県によって差があります。
他にも、都道府県によって「共働き率」や「自営業と会社員の比率」なども差があるでしょう。
加入期間も大きな要素となりますので、こうした背景からも受給額の差につながったと言えるのです。
都道府県が年金を支給しているわけではないので、仮に水準が高い神奈川県に住んでいても、現役時代の働き方によっては受給額が少なくなるということです。
3. 国民年金にも都道府県での差がある?
公的年金には、1階部分の国民年金(老齢基礎年金)もあります。
会社員等でなければ厚生年金に加入しないため、将来は老齢基礎年金だけという方もいるでしょう。
では、老齢基礎年金も都道府県による差があるのでしょうか。
3.1 都道府県別「老齢基礎年金」の平均年金月額
- 北海道:5万5509円
- 青森県:5万3933円
- 岩手県:5万7407円
- 宮城県:5万6278円
- 秋田県:5万5824円
- 山形県:5万7453円
- 福島県:5万6653円
- 茨城県:5万6228円
- 栃木県:5万6380円
- 群馬県:5万7496円
- 埼玉県:5万5990円
- 千葉県:5万6332円
- 東京都:5万5381円
- 神奈川県:5万6391円
- 新潟県:5万8725円
- 富山県:6万34円
- 石川県:5万8997円
- 福井県:5万9339円
- 山梨県:5万6077円
- 長野県:5万9050円
- 岐阜県:5万8304円
- 静岡県:5万8168円
- 愛知県:5万7077円
- 三重県:5万8493円
- 滋賀県:5万8244円
- 京都府:5万5395円
- 大阪府:5万4335円
- 兵庫県:5万6279円
- 奈良県:5万6010円
- 和歌山県:5万4794円
- 鳥取県:5万8585円
- 島根県:5万9276円
- 岡山県:5万8836円
- 広島県:5万8184円
- 山口県:5万8278円
- 徳島県:5万5886円
- 香川県:5万8950円
- 愛媛県:5万6861円
- 高知県:5万5129円
- 福岡県:5万5472円
- 佐賀県:5万8158円
- 長崎県:5万5618円
- 熊本県:5万6918円
- 大分県:5万5448円
- 宮崎県:5万6469円
- 鹿児島県:5万6789円
- 沖縄県:5万2112円
国民年金においてはどの都道府県もあまり差がなく、受給金額は概ね5~6万円の範囲でおさまっています。
国民年金保険料は全員一律であるため、個人差や地域差はあまり出ないと考えられます。