企業の業績動向や社会情勢の変化などによって、株価が大きく変動することがあります。
株価の動向は株式投資のリターンに大きな影響を与えるため、注意を払う必要があるでしょう。
株式投資のリターンを考える際は、配当金や株主優待だけではなく、株価変動も含めてトータルで考えることが大切です。
今回は商船三井(9104)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. 商船三井(9104)の配当金のリターンはいくらか
商船三井の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月7日
- 株式の取得価格:3550円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:300円
- 2023年3月期・期末配当:260円
- 100株ベースの配当金のリターン:5万6000円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. 商船三井の株主優待のリターンはいくらか
商船三井は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する方に向けて「にっぽん丸」クルーズの優待券とフェリーサービス「さんふらわあ」の優待券を提供しています。
【「にっぽん丸」クルーズの優待券】3月末日、9月末日現在の株主
- 100~1499株:2枚
- 1500~2999株:4枚
- 3000株以上:6枚
※1クルーズお一人様2枚まで、1枚につき旅行代金を10%割引
【フェリーサービス「さんふらわあ」の優待券】9月末日現在の株主
- 100~1499株:1枚
- 1500~2999株:2枚
- 3000株以上:3枚
※大人運賃から1名1乗船(片道)につき、5000円割引
今回は、「にっぽん丸」クルーズの優待券を利用した場合の割引額を基に、経済価値を算出します。たとえば、「横浜発・那覇着」のクルーズを利用した場合の旅行代金は、14万1000円~63万3000円です(2023年6月15日~2023年6月18日までの4日間)。仮に、最安値の14万1000円の旅行代金に20%割引を適用する場合、2万8200円の割引額となります。
にっぽん丸クルーズは年2回であること、またさんふらわあは5000円割引のため、優待のリターンを6万1400円と仮定します。
3. 商船三井の株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月7日
- 株式の取得価格:3550円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月7日
- 1年後の株価の終値:3217円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲3万3300円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:5万6000円
- 株主優待のリターン:6万1400円
- 株価変動によるリターン:▲3万3300円
- トータル・リターン(金額ベース):+8万4100円
- トータル・リターン(%ベース):+23.7%
トータル・リターンは金額ベースで+8万4100円でした。
4. 商船三井の配当推移を確認
商船三井の株式の年間リターンは+23.7%でした。
最後に商船三井の配当金の推移を確認しましょう。
今回確認したように、「配当金」「株主優待」「株価変動」に分けて考えると、より具体的なリターンを把握しやすくなります。
株式投資をする際は、配当金や株主優待の内容だけではなく、株価動向もしっかり確認しましょう。
参考資料
加藤 聖人