日経平均は週間で今年最大の上げ幅。北朝鮮リスクは限定的
2017年9月15日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より102円06銭高の19,909円50銭となりました。終値ベースで、8月8日(19,996円)以来の高値となりました。今週(11~15日)は634円上昇しました。
今週初は、懸念されていた北朝鮮の建国記念日(9日)に目立った動きがなかったことから地政学リスクが後退し、事前に売りに回っていた投資家が買い戻す動きが相次ぎました。日経平均の上げ幅は一時300円に迫りました。為替市場でも円相場は大幅に反落し、11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=109円35~45銭となりました。
15日朝には北朝鮮が再びミサイルを発射しましたが、市場の反応は冷静で、海外勢の中にはむしろ押し目を狙って大量に買いを進める動きが見られました。
来週以降の展開はどうなるでしょうか。北朝鮮リスクは楽観できないものの、市場はすでにミサイル発射だけでは動じなくなっているようです。「有事の円」が平時となり、円相場が円安・ドル高傾向にあることも、日本株買いを後押ししています。15日のニューヨーク外国為替市場で円相場はさらに1ドル=110円80~90銭まで円安・ドル高が進んでいます。
背景には、日本企業の業績が好調であることに加え、米国に上陸したハリケーン「イルマ」の被害が想定ほど深刻ではなかったこともあるようです。15日のダウ工業株30種平均は64ドル高の22,268ドルと、4日連続で過去最高値を更新しています。
来週は19日~20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているものの、量的金融緩和で膨らんだ保有資産の圧縮などは織り込み済みといったところです。20~21日には日銀の金融政策決定会合が開かれます。
引き続き、北朝鮮リスクが後退し米国のハリケーンの影響がさほど大きくならなければ、節目となる2万円台の早期の回復への期待も高まります。
200日移動平均線を割り込むが早期に回復する
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。今週は200日移動平均線をローソク足の実体が下抜けてしまい、チャートの形としてはかなり厳しい状況でした。
ところが、目先の下値めどとなる8月29日の安値(19,280円)、9月6日の安値(19,254円)あたりで踏みとどまると、11日には大きく窓をあけて反発し、一気に200日移動平均線を回復しました。
さらに12日、13日も窓をあけて急上昇し、25日移動平均線、75日移動平均線もローソク足の実体で回復しました。
25日移動平均線をキープできるようなら早期の2万円台も
今後の動きはどうなるでしょうか。一般的に、200日移動平均線のように比較的長い期間の移動平均線を割り込むと、なかなか回復が難しいとされます。そこで短期間で値を戻したことは下押し圧力のほうがむしろ弱かったと考えられます。
200日移動平均線だけでなく、75日移動平均線、25日移動平均線も回復したことに勢いを感じます。
ただし、急激に上昇したことから来週初は窓埋めの動きが出るかもしれません。18日は敬老の日で日本は祝日です。19日は、海外の市場の影響を受けた急な動きになることも考えられ注意が必要です。
15日の東証1部の売買代金も2兆8921億円と活況になっていることから、目先は上目線で考えていいのではないでしょうか。来週に若干の調整があっても、25日移動平均線(19,500円前後)あたりまでは押し目買いの好機と考えていいと思います。
上値めどとしては7月11日の高値(20,200円)、6月20日の高値(20,318円)あたりも視野に入ってきました。
下原 一晃