6月は年金支給月です。ただし、6月支給分から年金の支給額が改定となることを知っていますか。

本記事では、厚生年金と国民年金の6月支給額を解説します。

前年との増減率や年金の支給額が決まる仕組みも紹介するので、参考にしてみてください。

【注目記事】もうすぐ年金支給日!厚生年金と国民年金はみんないくら受給しているのか

1. 2023年6月から年金支給額が変わる【年金額改定】

年金は毎年4月に、支給額の改定がおこなわれます。

ただし、4月の改定分が支給額に反映されるのは6月支給分からです。これは、年金の支払スケジュールが影響しています。

年金の支払スケジュールは以下のとおりです。

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」

1.1 年金の支払スケジュール

年金の支払月 支給対象月

  • 2月         12月、1月分
  • 4月         2月、3月分
  • 6月         4月、5月分
  • 8月         6月、7月分
  • 10月       8月、9月分
  • 12月       10月、11月分

年金は2カ月に1度、前月までの2カ月分の年金が支払われます。そのため、支給額が改定された後の4月・5月分の年金が支給されるのは6月です。

「4月から新しい年金額を受け取れる」と勘違いしやすいので、注意してください。

2.【厚生年金と国民年金】2023年6月からの年金支給額はいくらか

では、2023年6月から受け取れる年金額はいくらなのでしょうか。

厚生労働省が公表する「令和5年度の年金額改定について」によると、2023年6月からの年金額は以下のとおりです。

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定について」

2.1 2023年度6月支給分からの厚生年金と国民年金支給額

  • 国民年金受給額(67歳以下):月額6万6250円
  • 国民年金受給額(68歳以上):月額6万6050円
  • 一般的な夫婦の年金受給額 :月額22万4482円

国民年金受給額は、20歳から60歳まで国民年金保険料を満額納めた人がもらえる金額です。

会社員経験のない自営業者は国民年金のみしか受け取れないため、もらえる年金は最大でも月6万6000円ほどとなります。年金だけで生活するのは一般的に難しいでしょう。

また、「一般的な夫婦」とは平均年収約527万円で40年間勤務した夫(妻)と会社員経験のない専業主婦(夫)の家庭です。夫の平均年収や勤務期間によって受給額は変動するため、月額22万4482円はあくまでも支給額の目安であることを覚えておきましょう。

3. 前年度からの年金増額率はどれくらいか

2023年6月からの支給額を確認しましたが、2022年と比べて支給額は増えているのでしょうか。

67歳以下の場合、前年から年金支給水準は2.2%増加しています。68歳以上の場合、増額率は1.9%です。

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定について」

ただし、2022年は物価が+ 2.5%上昇しました。そのため、物価上昇率と比較すると年金増額率は少ないです。

これは、年金の「マクロ経済スライド」という仕組みが影響しています。マクロ経済スライドは、少子高齢化が進む日本において年金制度を継続させるために、物価上昇率よりも年金増額率を抑える仕組みです。

これにより、2023年の年金支給額は物価上昇率を考えると実質的なマイナスとなります。

4. 年金振込通知書やねんきんネットの確認を

まだ年金の受給を開始していない人は、将来の年金額がいくらになるかをシミュレーションしてみてください。

「ねんきんネット」を使えば、簡単にシミュレーションが可能です。年金額を知れば、必要な老後対策が見えてきます。

また、年金を受け取っている方は6月に送付される年金振込通知書で支払われる金額を確認しましょう。

参考資料

苛原 寛